第4話



「かしこまりました。……それでも、その二つを合わせても大した金額にはならないと思いますが、よろしいですか?」

「ああ、今後もお世話になるかもしれないんだ。残りの利益に関してはそのまま納めてくれればいい」

「……承知しました。今後も何かあれば、私の名前を出してください。ご対応させていただきます」

「ああ、分かった」

「実際の取引はどうしましょうか? 一週間後にまたここで合流しますか? それとも、こちらから連絡いたしましょうか?」

「……そうだな。泊まっている宿に誰か人を寄こしてくれれば、こちらから向かうが」

「かしこまりました。それでは、その宿に私が向かいますので、そこで直接やり取りをしましょう。場所はどこですか?」

「ああ、宿の名前は――」


 それから今泊まっている宿の名前と部屋番号を伝えると、リベティはそれを契約書の端にメモした。

 それから、彼女はその契約書に片手を当て、スキルを発動した。

 紙を増殖させるスキルだ。彼女の手元には二枚の契約書があり、その一つをこちらに渡してきた。


「それでは、こちらコピーになります」

「ありがとな」

「いえ、こちらこそです。それでは、他に何かございますか?」

「いや、大丈夫だ」

「分かりました。それでは出口までご案内いたしますね」


 差し出された契約書を受け取った後、部屋を出る。

 それから、リベティに見送られるようにして『アルケイク』の本部を後にした。


 本部が小さくなるくらい離れたところで、俺は笑みを浮かべた。

 話がスムーズに進まない可能性も考えていたので、今回の交渉は俺としては満天だ。


 どうせタダでもらった装備だしな。


 俺がここまでの大金を使ってスキルを集めてもらうように頼んだ理由は簡単だ。

 【流れ星】のスキルは、運を強化できる。


 そしてこれは、占い師と非常に相性が良いのだ。

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