第113話
嫌な人がいたら、「そういう人もいるんだな」程度に受け止め、あとは忘れて、関わらなければいいだけだ。
「……それに、そんな態度のあたしも助けてくれたじゃない。あんたは優しいわよ」
……助けた、のは俺にも利益があったからだ。
まず、リガルとの戦いで俺は勝てるかどうか不安だった。
だから、どこかしらで必ずフィンの力は必要だったわけだ。
彼女なら、迷惑をかけたまま終わらせるようなことはしないと分かっていたしな。
それに、何よりだ。
「おまえを死なせたくなかったんだよ」
「……っ!?」
……俺がボスフロアに入る前に見たあの光景が、もしも正史の世界での出来事ならば――俺はそれを変えたかった。
どんなに小さなことだろうと、一つでも未来を変えられれば、ラグロフの死だって変わるかもしれない。
だから、決まっていた未来に抗うために彼女を助けた。
そんな、自己満足の理由で俺はフィンを助けたわけで、優しいといわれる理由にはならない。
「だから、生きてて良かったよ」
「……ば、バカ! い、一回言えば……分かるわよ……っ!」
なぜか、顔を真っ赤にしてさっさと階段を上っていくフィン。
どうしたんだろうか?
よくは分からないが、とりあえず迷宮攻略も無事に終わったのだし、いいか。
外へと出ると、魔物たちの死体がいくつも転がっていた。
……どうやら、外でも激しい戦いがあったようだ。
「れ、レウニスさん! 無事でしたかあああ!」
ハンマーを振り回しながら駆けつけてきたオルエッタを見て、ようやく俺の迷宮攻略も終わった。
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