第46話


 そして、俺たちを囮に使ったこと後悔させてやる必要もあるしな。

 俺は剣を握りしめ、スケルトンナイトを見据える。


「はっ! そうです! レウニスさん。私の装備品使ってください!」

「え? うぉ!?」


 オルエッタの声に振り返ると、ハンマーが投げられた。

 長剣のように両手で持つタイプの大きいものだ。

 俺が慌ててかわすと、地面にハンマーがめり込んだ。遅れて、彼女のネックレスと腕輪も落ちてきた。


「殺す気か!」

「頑張ってください!」


 ……悪気が一切ないのが、逆にこえぇっての。

 だが、彼女の装備はありがたく、借りることにした。


 ……つーか、こんな状況とはいえ、自分の装備すべて引っぺがしてたいして親しくもない男に渡すって、結構度胸あるな。


 オルエッタから渡された装備を、すべて身に着けていく。

 体内にしまい込んだ後、ステータスを確認する。


 レウニス レベル22 職業:暗黒騎士

 HP2/2(限界値) MP413/413 力705(+35) 体力447 魔力452(+20) 速度708(+20)

 職業スキル【暗黒騎士:レベル5】【暗黒魔法:レベル15】【暗黒騎士強化:レベル0】【余りポイント:1ポイント】

 スキル【根性】【劣勢強化・力】【劣勢強化・速度】【】

 装備【ホブゴブリンのネックレス】【ごうてつハンマー】【シャイニングネックレス】【餓狼の腕輪】


 ごうてつハンマーで、力+30、シャイニングネックレスで魔力+20、餓狼の腕輪で速度+20か。

 やっぱり、オルエッタの奴。新人冒険者とは思えないほどの装備品を持っていたな。


 オルエッタのおかげで、力と速度のみだが、700を超えた。

 このステータスがあれば、Cランクの魔物だろうが、戦える……!

 準備をしている間に、スケルトンナイトも戦闘態勢を整えたようだ。


 何かのスキルを使ったのだろう。スケルトンナイトの体が赤い光を放っている。

 ……何かしらのバフ系スキルか。

 何にせよ、やるしかない――!


 ほぼ同時に地面を蹴ると、お互いの剣がぶつかった。

 押しこまれそうになったのを抑え込み、押し返す。

 弾き上げた瞬間に、剣を振りぬくがすでにスケルトンナイトの姿はそこにはない。


 ――側面。

 反応が遅れた俺は、【シャドールーラー】を発動。

 俺の影を固め、振りぬかれた一撃を受け流す。


 攻撃をそらした瞬間に、影を操作し、槍のように放つ。

 スケルトンナイトはバックステップですべてをかわし、影から逃れた後にこちらへと迫る。


 一度影の操作を中断し、剣で迎え撃つ。

 数度の斬り合いのあと、何度かスケルトンナイトの体を掠めるが決定的なダメージとはなっていない。

 絶え間ない攻撃に、呼吸を整える暇もない。


 攻撃は確実にヒットしているというのに、スケルトンナイトに疲労の概念がないからか、段々と押しこまれていく。

 長剣なのに、小回りの利いた連撃。


 剣の技術で言えば、スケルトンナイトの方が圧倒的に上だ。足りない手数を、影操作によって補っていく。

 しかし、俺の影操作だって完璧ではない。


 習得してからまだ一日しか経っていないため、そう精密な動きはできない。

 何より、俺が動きながら操作できるほど、まだ技術がない……っ。


 それを、スケルトンナイトも徐々に気づいたようだ。

 攻撃の速度がさらに加速し、俺は影の操作を行えなくなっていく。

 振りぬかれた一撃を寸前でかわしたと思ったら、眼前にスケルトンナイトの足が迫っていた。

 

 思い切り蹴り飛ばされた俺は、HPを確認して1残っているのを確認してから、体を起こした。

 すぐにポーションを使って呼吸を整え、スケルトンナイトを睨む。


「れ、レウニスさん! 大丈夫ですか!」

「とりあえずは、な」


 HPは回復したので、痛みについては気合で誤魔化すしかない。

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