第116話
「まあ、色々あってな。ラグロフこそ、最近も調子いいんだろう? Aランク迷宮を攻略したとか、Sランク冒険者候補の子とお見合いをしたとか……」
「……お見合い、か。あれは向こうも嫌がっていたからな」
「へぇ、おまえが嫌がられるなんて、相手はブサイクとかが好きなのか?」
「自分よりも強い相手じゃなければ嫌だ、とな。別に好きとか嫌いとかはどうでもいいが、つい熱くなってしまって、決闘までしてしまったよ」
「決闘って……推定Sランク冒険者同士の戦いってやばいだろ?」
「まあ……それなりには、な。見合いは嫌いだが、戦いができるのは良かったな」
嬉しそうに語るラグロフに、リエが頭を抱えている。
……彼女の反応からなかなかに苦労したのだろうことは想像できるな。
「ラグロフさん! Sランク冒険者にはなれそうなんですか?」
オルエッタが小首を傾げながら問い抱えると、ラグロフは苦笑する。
「ああ、かなり自信はある。口頭でのステータスだが――」
「ラグロフ様! むやみやたらに部外者にステータスを伝えてはいけません!」
リエがきっと目を鋭くして声を上げる。
ラグロフがむぅーと頬を膨らませる。
「いいだろう、別に? レウニスの友であるオルエッタもオレには友のようなものだ。友を部外者というのは――」
「駄目です! ラグロフ様はもう少しクランリーダーとしての意識を持ってください!」
クランリーダー?
まだラグロフはサブリーダー的な立場だったと思うのだが。
「もう、ラグロフがリーダーになったのか?」
「あっ、そ、その……それはまだ確定ではないのですが……き、聞き流してください!」
「まったく、おまえのほうが秘密を明かしてしまっているじゃないか」
「……も、申し訳ございません」
「悪い、レウニス。さっきの話は、今回オレのステータスがSランク相当になっていればという話だったんだ。能力測定をした後にインタビューを受けることになっているのだが、そこで正式に発表する予定だ」
「なるほどな。オルエッタ。誰にも言うなよ」
「分かってます!」
両手を口元に当てるオルエッタ。
ラグロフはそれからもう一度口を開く。
「それでまあ、オレのステータスだが……」
「リエの目が怖いから、言わなくていいぞ? お互いのステータスは実際に測定して見てもらうほうが楽しみだしな」
「……ほぉ。レウニス。キミもステータスには自信があるな?」
「それなりにはな」
「ふふ、楽しみだ。リエ。インタビューなどはレウニスのステータスを確認したあとでも構わないな?」
「え……一応、時間を確保しているのですが……分かりました。伝えてきます」
リエが部屋を退室したところで、能力測定が始まったようで、会場のほうが騒がしくなる。
俺たちは窓を開け、順番が来るまでその様子を眺めることにした。
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