第36話



「あっ、はい。……ラーナ様が代表者、ということでよろしいのでしょうか?」

「そうそう。どうしたらいいのか良く分からなくって、色々教えてもらっていい?」

「はい……承知しました。まずこちらの用紙に必要事項を記入して頂きます」


 ギルド職員が一枚の紙を取り出した。

 俺たち冒険者が記載する必要があるのは、競売に参加する理由のようだ。

 名前やランク、職業、ステータス、資金などについてはすべてギルド職員が冒険者カードを確認しながら記入するようだ。


「参加の理由は、どうするレウニスくん?」

「レベル上げをしたいからでいいんじゃないか? それでも問題ないか?」


 ギルド職員に問いかけると、こくりと頷いた。


「はい。問題ありません。よほどおかしなことが書かれていなければ大丈夫です」


 そうなんだな。

 確認もできたので、ラーナさんに理由の記入を行ってもらい、それからギルド職員が必要事項を記入していく。

 しばらく待っていると、ギルド職員が書類をまとめて笑みを浮かべる。


「それではこれで参加ということになりますので、明日の二十時までにこちらにお越しください」

「了解。そこで競売して、勝ち取ったら攻略できるってことでいいんだよね?」

「そうなりますね」

「なるほどね。色々ありがとう」


 申し込みは……思っていた以上にあっさりだった。

 今回が初の経験だったので、少し緊張していたが問題なかったな。


 代表者がAランク冒険者のラーナさんだったから、信頼があったのもあるかもしれない。

 俺も、早いところ信頼される冒険者になる必要があるのだが、それには何度も依頼などを達成していく他ない。

 ギルドから出たところで、ラーナさんが振り返る。


「ってことで、レウニスくん。明日の二十時にまたここで集合ってことで。今日はもう解散でいいかな?」

「ああ。色々とありがとな」

「私だって報酬をもらうんだから、気にしなくていいよ。それじゃあ、また明日ね。オルエッタちゃんにもよろしく伝えておいてね」


 ラーナさんはひらひらと手を振ってきたので、同じように返した。

 ……とりあえず、これで問題の一つは解決だな。

 あとは、無事に競売に勝利してレベル上げをするだけだな。


 肩の荷が少し降りたからか、いつもよりも体が軽い気がする。

 今日は他に用事もないので、このまま迷宮攻略に向かおうか。


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