第95話



「そうか。スカウト、ねぇ」

「本当に……残念ンだよ。ステータスや職業の面でリーダーに断られてしまってね。実績が十分あれば、それで説得できるかもと思ったんだけど、その報告をする前に別のクランに入られてしまった、ってわけだ」


 肩をすくめて苦笑するルーベルクに、俺も似たような笑みを返していた。

 ルーベルクには悪いが、彼がスカウトしてきたとしても俺は恐らく断っていただろう。


 『ハンターブロー』はSランククランなので、あまり自由には動けないだろうしな……。

 それは、ラグロフを見ていれば十分分かるし。


 話も一区切りつき、ルーベルクが席を立つ。


「それじゃあ九時に、うちのクランハウスに来てくれないかな? そこで打ち合わせをする予定かな。それで、打ち合わせが終わり次第、攻略に向かうからね」

「了解だ」

「クランハウスについたら『ルーベルクに頼まれてきた』と言ってくれれば案内してもらえるようにしておくからね」

「分かった」


 そう言い残し、ルーベルクはクランハウスを出て行った。


「……それにしても、いきなり『ハンターブロー』からこんな依頼が来るなんて……あなた、凄いのね」

「さすがにこれはたまたまだ。俺も予想はしてなかったよ」

 

 俺たちはひとまず朝食を食べはじめる。

 九時に集合なので、急いで食事をする必要があるな。


「さっきの話の通り、俺は早速仕事をしてくる。……オルエッタも借りるけど、いいよな?」

「ええ、問題ないわ。オルエッタ、気をつけるのよ……?」

「大丈夫だよ、お姉ちゃん! 私、強いからね!」

「ええ……それと、迷惑もかけないようにね」

「ええ!? 迷惑なんてかけないよっ、そうですよね、レウニスさん?」

「……まあ、そう、だな」

「えええ! そこははっきりと否定してくださいよぉ!」


 不満げに声をあげるオルエッタに苦笑しながら、俺たちは朝食を食べていった。


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