第33話




 ギルドに戻りながら、迷宮内で起きたことについて俺の口からも伝えていく。

 その間に迷宮へと調査に戻った冒険者も戻ってきて、完全攻略済みであることも証明された。


「……なるほど。キミのステータスはかなり特別なんだね。それが暗黒騎士とそのスキルとの相性の良さに繋がった、と」

「ああ」


 俺がどのようにして、ホブゴブリンを倒したのか聞かれたため、俺のステータスについて伝えた。

 別に隠すようなことでもないからな。

 スキルやステータスに関しては、他の人に再現できるものでもない。


 俺がこのスキル構成で戦えている最大の理由は、HPが2だからだしな。


「なるほど……巡りあわせ、というものはあるようだね」


 ルーベルクが柔らかな口調でそう言った。


「巡りあわせ?」

「ああ。職業に適したスキルを獲得できる、という人もいるそうだからね。キミが【根性】のスキルと出会ったのは、きっと運が良かったんだろう」

「あ、あはは……そうだな……」


 乾いた笑いを返すしかない。

 運なんて理由じゃない。俺がこのスキルを獲得できたのは、前世の知識があったからだ。

 いや、でも、こうして前世の記憶を持ったままやり直しができているのだから、運はいいのか?


 そんなことを考えていると、こちらにウルフが近づいてきた。

 魔物、か。

 俺は腰に差した剣に手を伸ばす。ちなみに、傷については『ハンターブロー』のヒーラーが治療してくれたため、今は完全に回復している。


 しかし、ルーベルクが俺に片手を向け、制してきた。


「まだ疲労は残っているだろう? ここは僕たちに任せてくれ」


 そういうなら、お言葉に甘えようか。 

 ルーベルクはちらと近くにいた仲間に視線を向けると、こちらにやってきたウルフに魔法を放った。

 ウルフは反応してかわそうとしたが……魔法はその体を追尾し、貫く。

 

 さすがに、Sランククランの冒険者だ。

 彼らの実際のランクがいくつかは分からないが、スキル一つをとっても練度が違う。

 戦闘はあっさりと終わり、ルーベルクが歩き出す。

 

「……ルーベルク。今の人の冒険者ランクって聞いてもいいか?」

「ん? ああ、彼女はCランクだ。僕はぎりぎりBランクでね。平均Cランク程度のパーティーだよ」


 ルーベルクが優しく教えてくれた。

 ……今のでもまだCランク、か。

 Sランクというのは、かなり高い壁のようだな……。


 だからといって、諦めるつもりはないが。


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