第34話
俺はさも、ラーナさんの罠に釣られたかのように踏み込む。
その瞬間、【地雷弾】が起動し、俺の足元で爆発する。
衝撃が全身へと抜けるが、HPがある限り痛みは生身の体よりは軽減される。
まあ、『生身で受けるよりは』ってだけで痛いけどな。
だが、ステータスのおかげで意識を手放すことなく、突っ込むことができる。
爆風の中を駆け抜けると、驚愕した顔のラーナさんを見ることができた。
普段見ることのない表情に、僅かながらの満足感とともに俺は渾身の剣を叩き込んだ。
一応、これはあくまで実力を見てもらうための戦いなので、剣の腹での攻撃だ。
ラーナさんは俺の一撃をもろにくらい、僅かに吹き飛び、倒れた。
追撃のために距離を詰めると、ラーナさんは武器をしまい、両手をあげて苦笑していた。
「いやー、まいったよ。もう大丈夫だから! それ以上殴らないでね!」
慌てた様子で叫んだラーナさんの声に反応し、振り上げていた剣を構えたまま止める。
「これで、迷宮攻略に協力してくれるってことでいいのか?」
「うん。もちろん! これだけの実力なら万が一にも失敗するってこともなさそうだしねー」
両手を上げたままのラーナさんは、それからニカっと笑った。
「それなら良かった。……早速で悪いんだけど、明日ギルドで受付してもらってもいいか?」
「了解だよ。それじゃあ、朝九時くらいにギルド集合でいいかい?」
「ああ、それで大丈夫だ」
「九時だね……そうなると、今日は久しぶりに早寝しないとだ。私、寝られるかちょっと不安だなぁ。こうしちゃいられないね。早く帰ろうか」
ラーナさんはそんなことを呑気に言いながら、立ち上がる。
俺とオルエッタもラーナさんの背中を追うように歩いていくと、ラーナさんがちらとこちらを見てきた。
「二人とも、まだかなり若いけどもしかしてこの前の成人の儀でステータスをもらった感じなの?」
「ああ、そうだ」
「ステータスは申し分ないね。職業は何かな? あっ、教えたくなかったら言わなくてもいいからね」
別に俺もオルエッタも隠したいという気持ちはなかった。
「俺は暗黒騎士で、オルエッタは占い師だ」
答えると、意外そうに目を丸くした。
「へぇ、職業はどちらかというと不人気なものなんだね……。でもあれだけ強いってことは、ステータスはかなり優秀だったの?」
「……まあ、とりあえずはな」
「羨ましいなぁ……そんな若くてそんなに強いなんて……将来有望だね」
ラーナさんは笑顔ではあったが、わずかながらに寂しさも混ざっているようだった。
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