第33話


 といっても、まずは様子見だ。

 スナイパーライフルを構えたラーナさんの動きに注視する。


 ラーナさんのスナイパーライフルにはすでに弾丸が込められているようだ。


 その銃口が光を放ち、弾丸がこちらへと向かってくる。

 弾丸は俺の胴体を狙っている。その軌道を見切った俺は横へと跳んでかわす。

 ステータスが低いと弾丸が放たれてから避けるなんて芸当はできないが、今の俺のステータスなら問題ないようだ。


 これは魔銃の弱点でもある。

 魔銃は格下相手にはめっぽう強いのだが、格上には簡単に見切られてしまう。

 そのため、狙撃手は不人気の職業の一つだ。


 だったらスナイパーライフルを使用しなければいいだろうという話もあるのだが、そうなると職業スキルのほぼ全てが使えなくなる。

 狙撃手のスキルは、使用武器が限定されてしまっているため、他の武器で代替できないのだ。


 不人気の職業ではあるが、ラーナさんがAランク冒険者であるのは紛れもない事実だ。

 その証拠に俺の逃げ道を潰すように、二、三の弾丸が迫ってくる。


 軌道を見切り、弾丸を剣で弾いた。弾かれた弾丸は、MPでできているため、切られた瞬間に霧のように消失した。

 弾丸を弾きながら近づいていくも、奥から赤く発光した弾丸が迫ってきた。


 あれは、スキルだ。

 俺はその発動タイミングを見切り、跳んだ。

 次の瞬間、赤い弾丸の周囲が爆発した。

 俺はその爆風を活かすように跳躍し、一気に懐へと入り込んだ。


「まさか、狙撃手のスキルを知ってるなんて……物好きだね」


 ラーナさんはからかうような調子でそう言って、懐から別の魔銃を取り出した。

 ハンドガンだ。近接の相手に対して、ラーナさんはハンドガンで対応するのだ。

 剣を振り抜くと、ラーナさんはスナイパーライフルをしまいながら、ハンドガンで俺の剣を横に撃ち流した。

 同時に銃口がこちらへと向いた。

 

 放たれた弾丸はしかし、当たらない。

 反撃に剣を振るが、ラーナさんもかわす。

 お互いの速度はほぼ互角だ。

 近接での戦闘はしばらく続き、ラーナさんが後退する。

 その時に、ラーナさんが足元に弾丸をはなっていたのは、ちゃんと見ていた。


 恐らくスキル、【地雷弾】の設置だろう。

 あのスキルは踏み抜いた瞬間に爆発するスキルだ。

 そこそこの威力も痛みもあるだろうが、ラーナさんの自慢のスキルの一つでもある。


 ならば、逆に利用すればいい。

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