第9話



「あっ、スキルをいくつか取得しましたよっ」

「どんなスキルだ?」

「えーとですね。【力の根源】と【女教皇の知略】とあと、【女帝の威光】ですね!」


 そうか。

 彼女の言葉に、俺の記憶が正しいことを自覚して、ほっと胸をなでおろす。


「一つずつ、スキルの説明をするな。まず、【力の根源】だが、成功確率10%のスキルで、成功時に一定時間力を1.5倍にするんだ」

「ええ!? そんな凄いスキルなんですか!?」

「……ただ、言っておくが成功時、だ。失敗した場合は一定時間力が半分になるんだよ」

「な、なるほどぉ。再使用時間もちょこっとありますし、失敗したら諸刃の剣といったって感じですね」

「そうだ」


 オルエッタがしっかりと認識してくれているようで良かった。


「今後、上のランクの迷宮攻略をする場合、オルエッタが【力の根源】を使って成功した場合はオルエッタが魔物を狩り、失敗した場合は俺が狩るってやれば効率良くレベルを上げることもできるはずだ」

「なるほどっ。これは本当に素晴らしいスキルですね!」


 成功した場合はな。

 嬉しそうに話しているオルエッタには悪いが、失敗する可能性があるスキルをあまり迷宮内では使ってほしくないのが現実だ。


「それでは、【女教皇の知略】はどのようなスキルでしょうか?」

「【力の根源】の魔力バージョンだな。魔力を一定時間1.5倍にしてくれるスキルだ」

「魔力、ですか? うーん……でも、占い師を強化しても魔法攻撃スキルは獲得できていませんよね? あっ、もしかしてこの【女帝の威光】がそうなのでしょうか?」

「【女帝の威光】の効果は次に説明するけど、攻撃系スキルではないな」

「……そうですかぁ。それでは、魔法攻撃は今のところスキルストーンでしか補えないということですか?」


 そこは、オルエッタの言う通りだ。

 占い師のスキルはとにかく成功確率をあげる必要があるため、魔法系スキルストーンを装備する余裕がないんだよなぁ。


「そうだな。必要があれば、スキルストーンで調整していくしかないけど……普通のアタッカーはどちらかに偏るしかないのを考えれば、どちらでも攻撃できるんだから悪くはないんだぞ?」

「ということは、私は基本後衛で控えて、魔力が強化されたら魔法で攻撃して……というほうがパーティーのバランス的にはいいですかね?」


 確かに、そのほうがデメリットをそこまで気にせずに使えるだろう。


「ただ、1.5倍になったからって、今オルエッタが持っている魔法攻撃系スキルは、下級の火魔法と水魔法だろ? さすがにCランク以上の迷宮で通用するかどうかは……難しいところだな」

「むむぅ……そうなると、スキルストーンでもっと凄い魔法を獲得する必要があるということですか」

「そうだな。……まあ、それらの不安を退けるのが、次の【女帝の威光】だ」

 

 俺の言葉に、オルエッタは目をキラキラと輝かせる。


「どんなスキルなのでしょうか!?」

「……相手が確定でアイテムをドロップするようになるんだ」

「ドロップ……ですか?」


 いまいち、ピンとこない様子でオルエッタが首を傾げた。

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