第91話
「何を暴走しているんだ。……俺を自由に行動させてくれないか?」
「……自由に?」
「ああ。俺は強くなるために、迷宮攻略を行っている。今後もオルエッタと行動していたときのように自由に活動させてほしいって話だ。もちろん、迷宮攻略をするときはクランの名前も出すつもりだ。『仮面の英雄』のレウニスとして、これからは迷宮攻略を行うってわけだ」
俺の条件に、フィールは驚いたように目を見開いた。
それから、考えるように顎に手を当てる。訝しむような視線の理由はなんとなく想像できる。
「……確かにそれはクランの評価に関わってくるし、このクランにとってはメリットがあるけれど……それで。あなたに何かメリットはあるの?」
「しいてあげるなら、これからもオルエッタとともに迷宮攻略ができるってことだな」
「……オルエッタと?」
「ああ。オルエッタ、おまえのスキルと職業の効果は伝えたか?」
「いえ、伝えてませんっ、伝えてもいいんですか!?」
「ああ。頼む」
俺がそういうと、オルエッタは嬉しそうにフィールに伝えていった。
……ただ、あまりに伝えるのが下手で、結局俺が説明の補助をすることになった。
俺がスキルの効果を伝えると、フィールは目を見開いていた。
そのちょっと抜けた顔は、オルエッタにそっくりで、さすが姉妹だ。
「……それは、本当なの?」
「ああ。だからこそ、俺たちはオルエッタのスキルで稼いだ金でどんどん迷宮を落札して、攻略していったんだ」
「……迷宮を攻略していっているってことは、あなたもかなりの実力よね?」
「そうだな。今のレベルは……」
俺は自分のステータスを確認しながら、伝えていく。
レウニス レベル63 職業:暗黒騎士
HP2/2(限界値) MP781/781 力1425(+100) 体力760 魔力815 速度2115(+100)
職業スキル【暗黒騎士:レベル15】【暗黒魔法:レベル30】【暗黒騎士強化:レベル0】【余りポイント:17ポイント】
スキル【根性】【オートヒール】【劣勢強化・力】【劣勢強化・速度】【劣勢強化・速度】
装備【アースソード】【フレアソード】【アイスソード】【ウインドソード】
「ステータス……は、800越え……! そんなのAランク冒険者クラスじゃない!」
驚いた声をあげるフィール。
俺がフィールに伝えたステータスは、【劣勢強化】を載せていないときのステータスだ。
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