第37話
基本的に荷物持ちに戦闘能力は求められない。
だが、自衛程度は求められることもある。特に、ランクの高い迷宮ではなおさらそうだ。
ランクの高い冒険者にはプライドもあるため荷物持ちとして参加しようとする冒険者は低ランクばかりになるのだ。
だから、案外高ランクの依頼であっても、荷物持ちとしては参加できるほうだ。
「……は、はい。可能ですが、命の保証は……できませんよ?」
「ああ、それは自己責任だから大丈夫だ。それじゃあ、参加したい」
「分かりました。それでは冒険者カードの提示をお願いします」
言われるままにカードを渡し、手続きを済ませる。
「それでは、また今後詳しい情報が入り次第、報告したいと思いますので……どこか宿などは決まっていますか?」
「いや、まだ決まってないが……とりあえず、しばらくは魔石の売買とかでギルドにも来るから何かあればその時に教えてもらうってことでいいか?」
「分かりました。それでは、他に何かありますか?」
特に他に聞きたいことはなかったので、俺はそこで別れた。
ギルドを離れた俺は、次にスキルストーンショップを巡る。
目的のスキルがあれば……そう思って回っていたのだが――。
「……おっ、マジか!」
俺が発見したのは、【劣勢強化・力】だった。
先にこっちが見つかるとはな。
値段は、十二万ゴールドか。
購入はできるが、手持ちの金が一気に吹き飛んでしまうな。
とはいえ、ここで逃したら次いつ手に入るか分からない。
多少の迷いはあったが、スキルを購入し、店を出た。
店を出る直前に、スキルストーンを使いスキルを獲得する。
下手に外で持っていると、盗られる可能性があるからな。
スキルを使用し、ステータスを確認した。
レウニス レベル16 職業:暗黒騎士
HP2/2(限界値) MP301/301 力464(+5) 体力312 魔力276 速度312
職業スキル【暗黒騎士:レベル5】【暗黒魔法:レベル5】【暗黒騎士強化:レベル0】【余りポイント:5ポイント】
スキル【根性】【劣勢強化・力】【】【】
装備【ホブゴブリンのネックレス】【】【】【】
【劣勢強化・力】によって強化されたステータスは1.5倍か。
装備品を素のステータスに足した後、1.5倍にするようなので、できる限りステータスを強化できる装備品を身に着けたほうが良さそうだ。
本来、【劣勢強化・力】はHPが一定の数値よりも低くなったときに発動するスキルだ。
HP2で発動するのが分かれば、俺としては十分だ。
これだけ力が上がれば、Eランクの魔物くらいならどうにかなるだろうな。
準備も整ったし、早速レベル上げに向かおうか。
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