第15話
【根性】による俺のHPの低さは改善できた。
……まあ、不安はまだ残るんだがな。
HPを消費して攻撃スキルを使用するため、HPの回復手段がないと【根性】が安定して発動できないのだ。
それを解消するためにも、早めに回復スキルが欲しいところだ。
そんなことを考えながら、俺は迷宮からベーグルティへと戻ってきた。
空はすっかり暗くなってしまった。
俺は多少重くなった鞄を担ぎなおしながら、夜のベーグルティを歩いていく。
俺はステータス画面を開き、スキルの割り振りを行う。
【暗黒騎士】のレベルが5に上がり、【ブラッドレンジ】を覚えた。
これは【ブラッドスイング】よりも威力は落ちるが、中距離程度まで届く闇の衝撃波を放つスキルだ。
単体ではなく集団に強いスキルであり、ひとまず【暗黒騎士】はここまで上げておくと便利だ。
ここからしばらくはスキルポイントはためておくつもりだ。
とりあえず5ポイントは残しておきたいと思っている。
今後、もしもパーティーを組むことがあったときに、【誘い】のスキルを取れるようにしたいからだ。
でも、パーティーのタンクをやるなら、盾もあったほうがいいだろうか?
きちんとした装備品を買うとステータスにも補正が入るからいいんだけど、そういうのは高いからな……。
ちなみに、今俺が持っているこの剣なんかは装備しても何の恩恵もない。
しばらく歩くと、ギルドが見えてきた。
どこのギルドもそう構造が変わるわけではないのだが、王都のギルドよりも一回りは小さく見えた。王都に近いとはいえ、やはり首都である王都と比べるのはな。
地方に行けば行くほど、ギルドの規模も小さくなるものだ。
中へと入ると、今日の狩りを終えたであろう冒険者たちで溢れていた。
多くの冒険者は日中に活動するため、このぐらいの時間に精算へと来る。
これだけ多いと、素材の売却は後回しにした方がいいな。
まだお金に困っているわけではないのだし、時間は無駄にはしたくはない。
というわけで、俺は掲示板の方へと向かう。
目的の依頼は……デカデカと張り出されていた。
『Gランク迷宮 ゴブリンの里の攻略!』、と。
やっぱり出ていたか。
すでに、戦力の募集は終わっている。
でも、荷物持ちの募集はあるな。
報酬は少し落ちるけど、金額的にはそれなりだ。現状、金策手段は迷宮攻略への参加くらいしかないからな。
それに、ボスモンスターの攻略に参加し、もしも戦闘に加わることができれば通常よりも多くの経験値が入るかもしれないので、申し込んでおこう。
ボスモンスターがくれる経験値は、通常の魔物とは比較にならないほどに多い。
期待とともに依頼を取り扱っている受付へと向かう。
少しだけ並んでいたが、すぐに俺の番となり、ギルド職員が一礼をしてきた。
「いらっしゃいませ。どうされましたか?」
「あそこに貼ってあるGランク迷宮の攻略に参加したいんだけど」
「かしこまりました。しかし、あちらの依頼は現在荷物持ちのみの募集となっていますがよろしいですか?」
「ああ、それで大丈夫だ」
「それでは冒険者カードの提示をお願いいたします」
言われた通り俺はギルド職員にカードを見せた。
そこに記載されていた情報を見て、眉根を寄せた。
恐らく職業とステータスのところだろうな。
「……暗黒騎士、ですか」
この世界には数多くの職業があるためすべてを把握している人は少ないが、外れ職業はやはり記憶に残っているようだ。
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