第7話



 これから、俺のやるべきことはいくつかある。

 鞄に入っていたペンと紙を取り出し、メモを取る。


 まず、大目標としては、ラグロフとともにSランク迷宮の攻略任務に参加することだ。

 この任務は、とある島国で発生したSランク迷宮を攻略するというものだ。

 迷宮には寿命があり、出現してから一定時間が経過することで寿命を迎える。

 しかし、この寿命を迎えた瞬間に内部に蓄えた魔力を外へと放出してしまうのだ。同時に、迷宮内で生み出されていた魔物も外に出てくる。


 迷宮の魔力は濃く、その土地の環境を変化させることも多い。ランクの高い迷宮となれば、より影響は大きくなり、人が住めない大地となることもある。


 迷宮が寿命を迎えることを、迷宮爆発と呼び、なんとかして迷宮爆発を発生させないようにギルドは迷宮の管理を行っている。

 迷宮爆発が発生すると、中にいる魔物たちが外にあふれ出るため、素早く攻略する必要がある。


 迷宮の寿命については、スキルで簡単に調べられ、だいたい寿命を迎える三日ほど前には攻略するようにしているのだ。


 とにかく、俺の目標はこのSランク任務に参加することなのだが、それには大きく分けて二つやらなければならないことがある。


 一つ目は、能力。もちろん、Sランク迷宮を攻略するための戦闘能力だ。

 そして、もう一つは冒険者としての知名度だ。

 

 まず戦闘能力だが、こちらは簡単だ。

 レベルを上げ、鍛錬を積めばいくらでも上げられるだろう。


 問題は冒険者としての知名度だ。

 ……こっちが非常に面倒なんだよな。ただ、目立てばいいわけではない。

 下手に目立ちすぎると、自由な冒険者活動ができなくなるどころか、下手な嫉妬を集めかねない。


 そうなると、レベル上げはやりにくくなるし、日々の鍛錬だって邪魔をされかねない。

 なので、できる限り冒険者活動では目立たないようにレベル上げをしていくのがいいだろう。

 冒険者の評価は、成人の儀の際に受けたステータスに大きく影響される。

 もちろん、これまでの依頼の達成記録や迷宮の攻略記録などもあるが、やはり基本はステータスだ。


 だから、ステータスでSランクの評価を受ければ、Sランク依頼にだって参加できるだろう。


 ステータス自体は本人ならばいつでも見られるのだが、周囲の人へ自分のステータスを証明する手段は、測定器で調べ、担当者のサインの入ったもの以外では駄目だ。


 鞄を漁ってみたところ、俺のGランク級の評価のされた能力証明書も入っていたので、これを使って冒険者登録自体は可能だ。


 とりあえずは、順調にステータスを上げていくしかない。

 成人の儀は、能力測定の儀とも呼ばれており、成人以外も受けることは可能だ。


 能力測定ができる日は、国内の魔力の流れなども関係しているので、明確にこの日から受けられるというのは今はわからないが、確か半年後くらいに次の能力測定があったはずだ。


 まずは、Gランク迷宮から順に挑戦していって、半年後までにAランク迷宮を余裕でクリアできるようになるのが目標だな。


 方針が決まったところで、冒険者ギルドへと向かう。

 何をするにもまずは冒険者登録をしなければならないからな。

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