第48話




「……滅茶苦茶早かったね」


 通路へと戻ると、こちらを窺うように見ていたラーナさんたちと目があった。

 ラーナさんは苦笑を、ブールたちは完全に顔を青ざめている。


「……お、オレたち、生きててよかった……」


 ぶつぶつと怯えるようにそんなことを呟いている。

 ブールたちは無視しても問題ないだろう。

 彼らの扱いは、こういうときも楽でいい。


「これで、迷宮攻略は終わったからギルドに戻るぞ」


 そう伝えてから、すたすたと歩きだす。

 攻略した迷宮はもう魔物が出現しないので、帰りは行きよりもかなり早いだろう。


 ギルドに戻る前に、確認しておきたいことがあったので、俺はラーナさんたちへと視線を向ける。


「ラーナさんは、これからも代表者として参加してもらうことは可能なのか?」

「私は大丈夫。報酬ももらってるしね。いつでも頼んでいいよ」


 ぐっと親指を立てるラーナさん。

 それから、ブールたちに視線を向ける。


「ブールたちはどうだ? 今後はBランク迷宮を攻略していくつもりだから、大変なら無理にとは言わないが」

「い、いや……オレたちも大丈夫だ」

「本当か? 次の能力測定までは付き添ってもらうつもりだが……」

「あと二ヵ月くらいだろ? それなら別にな……」


 声は震えていたが、ブールたちもこくこくと頷いている。

 彼らが言う通り、次の能力測定は二ヵ月後。

 それまでに俺はレベルを上げ続けようと思っていたので、荷物持ちと代表者を確保できたのは良かったな。

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