第62話



 王都のギルドへ戻ると、ギルド職員が笑顔とともに会釈してきた。


「お疲れ様です。レウニス様、ラーナ様。……迷宮攻略は無事完了しましたか?」

「ああ、問題ない。あとで確認しに行ってくれ」

「かしこまりました。やはり、レウニス様の攻略は早くて安心できますね」


 にこにこと微笑んでいるギルド職員は、それからすぐに別の職員に指示を出した。

 

「それで、次に競売に出ている迷宮についてなんだが……」

「あっ、それでしたらこちらのBランク迷宮はどうでしょうか? 先日発生したそうなのですが、消滅までの時間が短いそうなんですよ」


 ギルド職員が差し出してきた一枚の紙を、ラーナさんとともに確認する。

 シェイナという村の近くに発生した迷宮についてが書かれている。

 シェイナ村……? どこかで聞いたことがあるなぁ、と思っているとラーナさんが声を上げた。


「……シェイナ村の近くって、シェイナ村には特に影響は出てない? 大丈夫かい?」

「あっ、はい。今のところは特に問題ないようですね」

「それなら……良かった。あっ、ごめんね。私、シェイナ村の出身なんだよね」


 ラーナさんがほっと胸を撫でおろしながら、そう言った。

 シェイナ村、か。

 そこで、俺の脳裏にある記憶が思い起こされる。

 今なら、シェイナ村に訪れるのも不自然ではないし……一度シェイナ村に行ったほうがいいかもな。


「なら、その迷宮の競売に参加したいんだが……大丈夫か?」

「はい! レウニス様でしたら大歓迎ですよ。それでは、いつものようにこちらの用紙に記入お願いいたします」


 差し出された申し込み用紙に必要事項を記入していき、それをギルド職員に提出する。

 確認を終えたギルド職員が笑みを浮かべた。


「これで問題ありませんね。申し込んでおきますね」

「ああ、頼む」


 それでやり取りは終わり、少し待つと迷宮攻略の確認を終えた冒険者が戻ってきて、先ほどの攻略についても達成ということで俺たちは解放された。

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