第27話
さて、皆が眠ったのを確認したところで、俺は動き出した。
第三層のゴブリンと戦ってみたかったんだよな。
俺は第三層のゴブリンと戦ったことがなかった。
というのも、単純に距離が遠いからだ。
迷宮に入って半日くらい移動する必要があるため、そこまでの時間をかけるのもなぁ、という感じだったからだ。
筋トレを終えた俺は、ちょうど近くに出現したゴブリンへと向かって歩いていく。
結界の有効範囲から出ると、ゴブリンたちはこちらへと向かってきた。
数は五体。
自由な様子で飛びかかってきたゴブリンの一撃をかわし、剣を振る。
殴りつけた一撃では、倒れない。さすがに一発では難しいか。
一体に攻撃したところで、別のゴブリンたちがさらに飛びかかってくる。
それを迎え撃つように、【ブラッドレンジ】を発動する。
周囲を薙ぎ払うような一閃で、ゴブリンたちを吹き飛ばした。
しかし、一撃では倒れなかったのもいる。さすがに三層のゴブリンは強いな。
ただ、一体は倒したので当たり所や、個体ごとに打たれ強さなども多少は違うのかもしれない。
HPが再度回復するのを待っていては時間がかかるため、一体ずつ剣で殴って仕留めていった。
軽く深呼吸をして、体の調子を確かめる。
思ったよりも余裕に戦えているな。
結界魔石の範囲内で水分補給をし、時々現れるゴブリンを狩りながら時間が進むのを待つ。
二時間ほどが経ち、俺も休憩がてら見張りをしていると、ルファンが目を覚ました。
「レウニスくん。残りの時間は僕が見てるよ」
「え? 別にまだ休んでても大丈夫だぞ」
「でも、万が一の時を考えるとレウニスくんにも休んでおいてほしいからね」
どうやら、今日一日で俺はかなりルファンから信頼してもらえるようになったようだ。
確かに、きちんと体を休めることも、筋肉を強化するうえで必要なことだ。
「分かった。お言葉に甘えて休ませてもらうよ」
ルファンにそう言って、俺も横になり目を閉じる。
すぐに眠気がやってきたのは、俺もそれなりに疲れていたからかもしれない。
俺たちは仮眠をとった後、再び第三層を進んでいく。
多少苦戦を強いられはしたが、前ほどではない。休憩の効果があったようだ。
特にイソルベが絶好調なようで、ゴブリンを複数相手どっても何とかなっている。
そうして、進んでいくととうとう迷宮の最奥が見えるところまでやってきた。
いよいよか。
さすがのイソルベもそのまま前に進むことはしない。
一度休憩をはさみ、軽い水分補給を行う。
俺も水筒に口をつけていると、ミーナが隣に並んだ。
「ここのボスって、確かホブゴブリンだよね?」
「ああ。そうだ」
通常のゴブリンが人間の子ども程度ではあるが、ホブゴブリンはそれよりも一回り大きい。
しかし、攻撃はゴブリン同様単調なもので、その力と速度についていけるのであれば問題はないそうだ。
これらはギルドが事前に調べてくれた情報だ。
そのまま攻略しようと思えばできるだろうが、あえて俺たちに挑戦させているのは、新人冒険者育成のためにだろう。
「……だ、大丈夫かな?」
「絶対はないが、大丈夫だとは思う」
イソルベはこの迷宮でのレベルアップもあってか、確実に強くなっている。
他の人たちだってそうだ。
あとは、それぞれが自分の力を発揮すれば、問題なく勝てるはずだ。
……勝てる、はずなんだがな。
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