第60話
迷宮でのレベル上げを終えた俺たちは、王都行きの馬車へと乗り込んだ。
今からなら夜までには到着するだろう。
それから宿をとり、明日に備える、という日程だ。
オークションでのスケジュールでは、午前の部で装備品のオークションを行うらしい。
スキルが並ぶのは、午後からで夜の部として奴隷の売買が開始する。
午後からといっても、俺の目的だった【オートヒール】のオークションは十五時からだそうだ。
万が一にも、寝坊することはないだろう。
俺たちが乗り込んだ王都行きの馬車は、非常に大きなものだ。
王都へ向かう客は、基本的に多いからだろうか?
基本的にはと言ったのは、今俺たちが乗り込んだ馬車の乗客が少なかったからだ。
まあ、時間帯も夕方だしな。今から出発すると暗くなり、危険も増えるためこの時間にわざわざ移動する人は少ないのかもしれない。
おかげで、広々とした馬車でゆったりとしているのだが……。
「オルエッタ。別にもっと離れた場所に座ってもいいんじゃないか?」
「でも、せっかくの旅ですし、色々お話もしないですから、隣に座りたいです」
オルエッタは、にこっと微笑んで俺の隣から動かない。
俺はせっかく角の席に座ったというのに、隣にオルエッタがいるために圧迫感がある。
じとーっと視線を向けても、オルエッタからは笑顔しか返されない。
どうやら、道中は彼女のお話に付き合う必要がありそうだ。
「そういえば、レウニスさんって今レベルはどのくらいなんですか? 依頼を受けた時のメンバー表から随分と成長されていますよね?」
「まあ、そうだな」
別に隠すようなことでもない。
俺は今現在の自分のステータスを口頭で伝えていく。
成人の儀でないと、ステータスを他人に見せることはできないからな。
だから、多くの冒険者は自分のステータスを更新するために能力測定の儀に参加するのだ。
レウニス レベル25 職業:暗黒騎士
HP2/2(限界値) MP442/442 力767(+20) 体力494 魔力465 速度741 494
職業スキル【暗黒騎士:レベル5】【暗黒魔法:レベル15】【暗黒騎士強化:レベル0】【余りポイント:4ポイント】
スキル【根性】【劣勢強化・力】【劣勢強化・速度】【】
装備【ホブゴブリンのネックレス】【ナイトソード】【】【】
今の俺のステータスを伝えると、オルエッタはぽかんとした様子でいた。
「とても高いですね! 一人でスケルトンナイトを倒せたのも納得です!」
「って、言ってもだ。スキルでどうにか補っているだけでまだまだだっての。オルエッタはどうなんだ?」
「私はですね……っ」
オルエッタは嬉しそうにステータス画面を眺めながら、一つずつ教えてくれた。
オルエッタ レベル16 職業:占い師
HP545/545 MP475/475 力625(+20) 体力593(+10) 魔力374(+20) 速度599(+20)
職業スキル【占い師:レベル0】【確率魔法:レベル0】【占い師強化:レベル0】【余りポイント:15ポイント】
スキル【火魔法・下級】【水魔法・下級】【力強化】【体力強化】
装備【ごうてつハンマー】【シャイニングネックレス】【餓狼の腕輪】【Eランク魔石のネックレス】
彼女の現在のステータスについてを、俺はメモにまとめていた。
……凄いステータスだな。
俺よりもレベルは低いのに、すべてのステータスに置いて彼女は俺を超えている。
やはり、初期値による差はかなり大きなものとなっているな。
それでも、何とか差を埋められてはいるので、やはり日々の鍛錬は大事になってくる。
オルエッタもほとんど毎日筋トレをしていると言っていたので、しっかりと研鑽を積んでいればこのくらいは成長できるようだ。
一番の驚きは、彼女のスキルと装備品か。
すべて、最高のものではないが、きちんと揃えられている。
下級冒険者としては、すでに他よりも一歩抜き出ているような状態だ。
「スキルについてどうしようか迷っていたんですけど……どうしましょうか?」
「とりあえずは、このまま保留にしておいてくれ」
「分かりました」
占い師のスキルを活かすためには、運の力を強化するスキルが必要だ。
それを、今後手に入れられるかどうかで話が変わってくる。
確か、王都のスキルストーンショップに、一つはあったと思うが……。
時間があるときに、探さないとな。
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