第46話
ボスフロアを歩いていくと、淡い光が中央へと集まっていく。
やがて、その光が魔物の形を表し、そして……トレントの姿となった。
「ガアア!」
トレントは木の魔物だ。
その体は大きな幹でできあがっており、枝が腕のようにしなっていた。
本来であれば根の部分が足のようになっていて、体は自由に動けるようになっていた。
幹の部分に目と口のようなものがあり、それがまっすぐにこちらを捉えていた。
「それじゃあオルエッタ。俺にトレントの注目を集めるから、あとは頼んだ」
「分かりました!」
オルエッタと連携しての戦闘は、実はあまり行ったことがない。
これまでの魔物はだいたい俺かオルエッタ一人で捌けてしまっていたからな。
【誘い】を発動すると、トレントの俺への警戒が強まった気がした。
その隙にオルエッタはトレントの背後へと回り、ハンマーを構えた。
さて、やるとしようか。
俺が攻撃を仕掛けようと駆け出すと、トレントが枝を鞭のようにしならせて振りぬいてきた。
オルエッタがハンマーを振りぬく。
爆音とともに、トレントの体が一瞬浮き上がり、
「ガア!?」
トレントから驚愕の悲鳴が漏れた。今の一撃でトレントのHPをかなり持っていったはずだ。
ただ、それだけの威力の一撃となれば、当然敵意もオルエッタへと集まる。
トレントの次の攻撃は、根の部分を鞭のようにしてのものだ。
まっすぐにオルエッタへと迫るが、オルエッタは軽やかな動きでかわしていく。
問題なさそうだな。
オルエッタにトレントの注目を集めてもらっているおかげで、今度は俺が動きやすい。
殴ってくれとばかりに背中を晒しているトレントに、いっちょかましてやろうか。
地面を蹴りつけ、トレントの背中へ接近した俺は【ブラッドスイング】を放った。
「ガア!?」
吹き飛んだトレントに、【誘い】を使用して敵意を集めなおしたのだが……トレントはぴくりとも動かない。
そして、その体がゆっくりと霧のように消滅していき、ドロップアイテムが後には残った。
「あれ? もう終わりですか? 思ったよりもあっさりでしたね?」
「オルエッタの一撃がよっぽど効いたのかもな」
「えー、私よりもレウニスさんじゃないですか? トレント吹き飛んでましたよ?」
まあ、どちらでもいいが……今の俺たちならCランク迷宮は余裕ということが分かったな。
ドロップアイテムを確認しよう。
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