第35話 精霊達の新魔法と斥候の行方
投擲スキルを買って鍛えて、魔法玉の使用感テストをして、イヌの群れと戦って……と毎日忙しく過ごしているうちに、季節は冬に入っていた。
現在の俺の基礎レベルは18、人形使い18、身体強化18、知力強化18、記憶力強化18、痛覚耐性17、精神力強化17、精霊召喚17、槍術16、剛体16、体力増強15、気配察知15、危険予測14、氣力増強13、魔力増強12、俯瞰10、投擲7、となった。
青藍は基礎18、初期スキル(自動修復、自律行動、学習知能)18、身体強化18、剛体15、盾術15、剣術15、氣力増強12、投擲6。
専用スキルは硬質化10。強化は筋力+1、素早さ+3。
紅は基礎18、初期スキル(自動修復、自律行動、学習知能)18、身体強化18、剛体14。槍術14、氣力増強11、投擲6。
専用スキルは硬質化9。強化は素早さ+4。
紫苑は基礎18、初期スキル(自動修復、自律行動、学習知能)18、身体強化18、剛体14、弓術13、氣力増強11、投擲5。
専用スキルは硬質化9。強化は知力+2、器用さ+2。
山吹は基礎15、初期スキル(自動修復、自律行動、学習知能)15、身体強化15、剛体11、氣力増強10、斧術9、投擲5。
専用スキルは硬質化8。強化は筋力+2。
炎珠は基礎17、属性は火(+風)。現在は炎の矢の姿をしている。
覚えている魔法は「ファイヤーボール」「ファイヤーバレット」「ファイヤージャベリン」「ファイヤーアロー」。
石躁は基礎15、属性は石。現在は石の檻の中に尖った石柱が生えた姿をしている。
覚えている魔法は「ストーンウォール」「石柱撃」「石の檻」。
青藍、紅、紫苑の三人は1メートル15センチまで成長した。山吹もレベルが上がって1メートルまで大きくなった。
人形達には切り札として魔法玉を持たせてあるけど、いざという時にだけ使うように言ってある。ぽんぽん投げてたら赤字になってしまう。
他にも、精霊達にそれぞれ新しい魔法を覚えさせた。この魔法を織り交ぜて使う事で、これまでよりクールタイムが短くなれば良いと目論んでいる。
人形使いと精霊召喚のレベルがそれぞれ21まで上がれば、新しい人形と精霊を仲間にできるようになる。そうなればイヌとの戦いもかなり有利になるだろう。もしかしたらその辺りで8層へ行けるようになるかもしれない。
「炎珠召喚、ファイヤーアロー!」
「石躁召喚、石の檻!」
俺と紅が槍で2匹ずつ牽制、青藍も剣と盾で2匹牽制。紫苑はどのイヌ担当というのは無く、打ちやすそうな相手にどんどん矢を当ててダメージを負わせていく。敵に止めを刺して数を減らしていくのは、斧使いである山吹の担当だ。
精霊達が覚えた新しい魔法は、ファイヤージャベリンや石柱撃のような一撃必殺の威力はないが、イヌを1匹、しばらく足止めできるものだ。
ファイヤーアローは表面を焼くボールやバレットと違い、体内に深く刺さる事で内部に深い傷を作り、敵の動きを阻害する魔法だ。
石の檻はその名の通り、石で檻を作り出して敵を数分閉じ込めるものだ。
どちらも魔力消費が少なめで、30分程度のクールタイムで再召喚できる。
魔力をたくさん使う魔法を使った後、精霊が1時間以上再召喚できないのは不便に感じる事も多かったから、魔力消費の少ない足止め用の魔法を覚えさせて、場面によって使い分けるようにしたのだ。
檻の魔法の方が足止めには適しているけど、炎の檻じゃ通り抜けられてしまうのでこうなった。
俺達がそれぞれイヌを抑えたり矢でダメージを与えたりしている間に、山吹が着実に1匹ずつ止めを刺して、イヌの数を減らしていく。
今日は山吹の武器を、小さな手斧から大きめの斧へと変更した。
手斧よりずっと刃の厚い大きな斧は、当然ながら攻撃力も高くて、イヌを手早く倒すのに有効に働いている。
山吹も1メートルを超えたので、大きめの斧でも問題なく戦えている。これでまた戦力が向上した。
「このまま押し込むっ」
精霊達が帰還して檻の魔法が解除される頃には、敵の数が減って余裕も生まれている。
おかげで精霊の召喚時間がかみ合えば、一度に10匹相手にしても倒せるようになってきた。
召喚が30分まで短縮できれば、魔法によって対応できる幅も広がる。
新しい魔法は威力はないけど、使いようによっては十分役に立ちそうだ。
夜、勉強や風呂を終えて、ネットでダンジョン関連の情報収集をする。
情報収集といっても、単にニュースやサイトを眺めて気になるものを読んでみるだけだ。寝るまでのわずかな時間の娯楽のようなものだ。
たまたま目についたのは、日本最高峰と呼ばれるパーティのうちのひとつの特集記事だった。
ダンジョンが民間に開放されて以降、ずっとシーカーとして活動し続けている超ベテランパーティだ。いくつもの新しい発見をしたり、貴重な魔道具を持ち帰ったりしているよう。
目についた原因は、そのパーティの構成員の中に弓使いの斥候がいたから。
(え、弓使いって斥候も兼ねられるんだ)
思ってもみなかった。斥候って専門職だから、他の職業を兼ねるのは効率が悪くなるとばかり思っていた。武器としては、投擲で投げナイフや魔法玉を投げる支援くらいが精々ではないかと。
しかし、日本最高峰のシーカーが弓と斥候を両立しているのだ。やってやれない事はないのかもしれない。
元々の予定では、5体目の人形を作成できたら、その人形を斥候専門として育てていく予定だった。
(ただ、これ以上後衛を増やすのはどうかって懸念はあったんだよな)
人形達がもっと大きくなって前衛戦力が安定したら、俺も後衛に下がりたいのだ。
でも前衛3、後衛3だと、パーティとしてはちょっとバランスが悪いと思う。できれば前衛4、後衛2くらいの方がバランスが良いんじゃないかな。
人形達が俺と同じくらいの大きさになるまでにはまだまだ時間がかかるから、それまでに新しい人形を増やしていけるだろうと前は思っていた。
だけど改めて計算してみると、人形達の身長が1メートル60センチになるのがレベル27だった。
人形使いの変則的な人形作成方法では、6体目の人形が作れるようになるのはレベル51から。
……どう考えても、5体目で当分は打ち止め。しばらくは人形5体+俺と精霊という組み合わせでやっていく事になる。
(紫苑の強化は知力と器用さが+2ずつだから、斥候としても悪くない強化なんだよな)
紫苑が弓使いと斥候を兼任。果たしていけるだろうか?
斥候を専門職として育てない事で、今後支障は出ないだろうか?
(もしやれるなら、俺が後衛に移れる日も遠くないけど……)
5体目の人形を斥候から前衛に役割変更できるなら、俺が後衛に移れる。けれどそれが本当に最善なのか?
紫苑に負担をかけた結果、弓使いとしても斥候としても中途半端な存在になってしまう可能性もある訳で。
(5体目の人形作成まではまだ期間があるし、それまでに育成方針を決めないとな)
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