第101話 ノートパソコンと新魔法の購入
早渡海くんの家から帰ってきて、中途半端に時間が空いた。母もちょうど、夕飯の下準備を終えて手が空いたとの事で、以前教わると約束していた確定申告に必要な会計処理の仕方を教わる事になった。
(……本導入の功績とか、ダンジョン街や世界を巻き込んだ騒ぎとかが夢だったみたいに、俺の生活は変わらないな)
当たり前だけど、いくらステータスボードに功績が記載されたからって、俺そのものは何も変わらないのだ。それを実感してようやく、とんでもない事が起こったんじゃないかっていうソワソワした気分も落ち着いた。
しかし、いざ会計処理を教わるぞ、となった段階で、俺がパソコンを持っていないのを思い出した母が、ちょっとだけ顔を顰めた。
「帳簿に手書きするよりも、会計ソフトとパソコンがあった方が便利じゃない? 鴇矢、自分の分のパソコンを買う気はない?」
どうやら、母はパソコンでソフトを使用して会計処理をしているらしい。そして今更、手書きでの帳簿作業に戻るのが嫌なようだ。
「パソコンって、組み立てとか難しいんじゃないの?」
俺はそういうのに詳しくないから、自力で組み立てられる気がしないんだけど。
パソコンの使い方そのものは学校で習ったし、父のパソコンを使わせてもらった事もあるから、基本くらいはわかるけどさ。
「ノートパソコンなら、買ってきて設定すればそのまま使えるし、持ち運びもできるし、初めて持つにはちょうどいいんじゃない?」
そう母に勧められ、(そっか、ノートって手があったか)と納得する。それなら確かに手軽そうだ。
それにスマホより画面も広いし、キーボードの方が文字も打ちやすいし、普段部屋で使うにも便利そうだ。ノートパソコンなら買っても良いかも。
「そっか。組み立てとかないなら、俺でも使えそう。でも俺はスペックとかそういうの、全然わかんないんだけど、大丈夫かな?」
パソコンを購入するだけの貯金はあると思う。極端に高いものじゃなければ買えるだろう。ゲームとかに使う予定もないから高スペックが必要な訳でもだろうし、安めの製品でいいと思う。よっぽどのハズレ製品で使いづらいとかじゃなければ、どれでもいいのだ。けれど、そのハズレを引かない為の目利きができない。
「父さんがそういうのに詳しいわよ。私のノートパソコンも選んでもらったの。父さんは明日仕事がお休みだから、一緒に買い物に行きましょ」
どうやら母も、機械類にはあまり詳しくないらしく、最初から父任せのようだ。
とりあえずその日は、母のノートパソコンを使わせてもらって、会計ソフトの使い方の基本を習った。
そんな訳で翌日、父と母と三人で電化製品の店まで、ノートパソコンを買いに行った。
店内で、父からCPUがどうとか、GHzがどうとか、スペックが表示されたポップ部分を指で示されながら早口で説明されたけど、呪文みたいに聞こえて、俺には殆ど理解できなかった。苦手分野だと思うと反射的に脳が理解を拒否するの、どうにかならないだろうか。今度自分でパソコンを選ばないといけなくなった時に困る。
ノートパソコンは父のお勧めだという有名メーカーのものを、勧められるままに買った。会計は自分で払うつもりだったけど、高い買い物だからと、両親から半額分を支援された。
未成年とはいえ、夏休み期間だけで150万円以上の貯金ができるくらいには、俺にだってダンジョンでの収入があったのだけど、両親にとってはまだまだ子供扱いらしい。
まあ、支援してもらえるのはありがたい事だ。俺は素直に申し出を受けて、半額分のお金を受け取って、支払いに使わせてもらった。
そしてその日の午後には、スクロール屋で新たな魔法も買った。
すぐ必要になるかどうかはわからないものもあるけど、お金に余裕があるうちに揃えておく事にしたのだ。
ガイエンさんから「随分買うんだな」とやや呆れられつつ選んだ魔法は、以下の9種類だ。
炎珠に
「ファイヤー」(着火魔法。小さな火を出す)
「ファイヤーウォール」(炎の壁。熱いし燃えるが、すり抜けられる)
「ファイヤーエンチャント」(装備に火属性を付与し、火耐性を上げる。武器に付与すると火を纏う)
花琳に
「眠り草の誘い」(対象を眠らせる。耐性などによって抵抗される場合もある。単体魔法)
「眠り草原の誘い」(対象を眠らせる。耐性などによって抵抗される場合もある。範囲魔法)
「痺れ草の罠」(対象を痺れさせる。耐性などによって抵抗される場合もある。単体魔法)
「痺れ草原の罠」(対象を痺れさせる。耐性などによって抵抗される場合もある。範囲魔法)
「毒草の囁き」(対象を毒状態にさせる。耐性などによって抵抗される場合もある。単体魔法)
「毒草原の囁き」(対象を毒状態にさせる。耐性などによって抵抗される場合もある。範囲魔法)
炎珠に新たに覚えさせたのは三つの魔法だ。ファイヤーは消費魔力の少ない着火魔法で、一応は覚えさせておいたら使うかもと思って購入した。ファイヤーウォールは、石の物理的な壁と違って炎でできた壁だ。通り抜ける瞬間は熱いもののそのまま擦り抜けられる性質から、使いどころが難しいと思って、今までは購入を見送ってきたものだ。だけどこれも場合によっては使うかもしれないと、結局は購入する事にしたのだ。そしてファイヤーエンチャントは、武器に火属性を付与する魔法で、敵の種類によっては有効だろうと思って購入した。
花琳には、眠り、麻痺、毒の三種類の魔法を、単体と範囲の両方の種類覚えてもらった。緑属性は魔法の種類が多いのもあって、花琳が一番、覚えている魔法の数が多くなったな。状態異常の魔法は使い方によっては強力な手札になるだろうから、こういった魔法はこれからも少しずつ覚えさせていきたいところだ。
石躁と結聖には、今回は良いと思える魔法が見つけられなかったので、新魔法の購入は見送った。また今度、良さそうなのを見つけたら、二人にも新しい魔法を買ってやりたい。
ちなみに、レベル的にはまだ先の話になるけど、5体目の精霊の属性は、「氷属性」にしようかと検討中だ。
炎と対極の性質で、攻撃も足止めもできる属性だし、更に、水場を凍らせて一時的な足場にするといった使い方もできるので、氷属性は幅広い運用が可能だと思う。それに冷気が弱点のモンスターもいるし、いずれは欲しい属性なのだ。
さて、そんな訳で、精霊達にたくさんの魔法を覚えさせたので、ステータスボードに記載されるステータスも、結構な長さになった。
俺のレベルは基礎35、人形使い35、身体強化35、知力強化34、記憶力強化34、痛覚耐性34、精神力強化33、精霊召喚33、槍術33、剛体33、体力増強33、気配察知33、危険予測32、氣力増強31、魔力増強31、俯瞰29、投擲29、剣術28、魔法耐性28、雷耐性27、弓術27、麻痺耐性26、気絶耐性25、インベントリ25、水泳23、水中呼吸23、水抵抗軽減23、平衡感覚7、直感7、嗅覚強化7、視力強化7、聴覚強化7、毒耐性7、火耐性7、氷耐性7、変温耐性7、即死耐性7。
青藍は基礎35、初期スキル(自動修復、自律行動、学習知能)35、身体強化35、剛体33、盾術33、剣術33、氣力増強31、投擲31、知力強化30、記憶力強化29、魔法耐性29、水抵抗軽減23、平衡感覚7、直感7。
専用スキルは硬質化33。強化は筋力+2、素早さ+3、頑丈さ+1、器用さ+1。
紅は基礎35、初期スキル(自動修復、自律行動、学習知能)35、身体強化35、剛体33。槍術32、氣力増強31、投擲30、知力強化30、記憶力強化29、剣術28、魔法耐性27、水抵抗軽減23、平衡感覚7、直感7。
専用スキルは硬質化30。強化は素早さ+4、筋力+2。
紫苑は基礎35、初期スキル(自動修復、自律行動、学習知能)35、身体強化35、剛体33、弓術33、氣力増強32、投擲31、知力強化30、記憶力強化30、気配察知29、俯瞰29、剣術28、魔法耐性27、水抵抗軽減23、平衡感覚7、直感7。
専用スキルは硬質化30。強化は知力+2、器用さ+2、筋力+2。
山吹は基礎34、初期スキル(自動修復、自律行動、学習知能)34、身体強化33、剛体32、氣力増強31、斧術30、投擲27、知力強化26、記憶力強化26、魔法耐性25、水抵抗軽減23、平衡感覚7、直感7。
専用スキルは硬質化28。強化は筋力+6。
黒檀は基礎29、初期スキル(自動修復、自律行動、学習知能)29、身体強化29、剛体28、氣力増強28、投擲27、気配察知27、危険予測27、俯瞰27、知力強化26、記憶力強化26、罠感知26、罠解除26、鍵開け26、罠作成26、縄術26、隠密25、消音25、消臭25、登攀25、剣術24、魔法耐性24、水抵抗軽減23、平衡感覚7、直感7。
専用スキルは硬質化29、小型化25、遠隔操作25、視覚共有25、ペイント22。強化は素早さ+2、器用さ+2、知力+2。
炎珠は基礎34、火(+風)属性。現在は火の盾の姿をしている。
覚えている魔法は「ファイヤーボール」「ファイヤーバレット」「ファイヤージャベリン」「ファイヤーアロー」「ファイヤー」「ファイヤーウォール」「ファイヤーエンチャント」。
石躁は基礎33、石+土属性。現在は石の檻が半分ほど土に埋まった姿をしている。
覚えている魔法は「ストーンウォール」「石柱撃」「石の檻」「土操作」。
花琳は基礎31、緑属性。現在は花の咲いた盆栽のような姿をしている。
覚えている魔法は「蔦の戒め」「森の癒し」「木の癒し」「緑草の安らぎ」「治癒の緑花」「治癒の緑花畑」「干し草の守り」「眠り草の誘い」「眠り草原の誘い」「痺れ草の罠」「痺れ草原の罠」「毒草の囁き」「毒草原の囁き」。
結聖は基礎25、聖属性。水晶玉に白い翼が生えて、天使の輪が浮かんでいる姿をしている。
覚えている魔法は「スフィアバリア」「フィールドサークルバリア」「ヒール」「オーラヒール」「スタミナヒール」「エリアヒール」「エリアオーラヒール」。
前に斥候ギルドで、斥候役の黒檀に、嗅覚、視力、聴力の強化スキルを取得するように勧められたけど、その後スクロール屋で確認したところ、人形には鼻も耳も目もついてないので、それらは強化できない事が判明した。
黒檀をスキルで強化ができなかったのはちょっと残念だけど、その分人形達には、閃光で目潰しが効かなかったりといった取り柄があるので、単純なマイナス要素って訳でもない。
なのでそれらの強化スキルは、唯一取得できる人間である俺が、代わりに取得する形に落ち着いた。
その分、平衡感覚や直感のスキルは全員に覚えさせておいた。
新しい魔法も大量に買った事だし、ワールドラビリンス100層へ到達したいという自分の中での目標もはっきりと定まった事だし、これからまた、ダンジョン攻略に全力を尽くしていこう。
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