第165話 新しい使役系スキルの登場

「新しい使役スキルが出現したってニュースがやってる!」

 波鳥羽くんがとても焦った様子で、大きめの声で叫んだ。

 その内容に驚いて、お昼休みに同じ教室にいたみんなもまた、慌ててスマホを開いてネットニュースを調べ始める。

 俺も同じようにスマホでネットを見ると、その見出しに「新しい使役系スキルの登場!」と大きなニュースになって反響を呼んでいた。

 そのニュースの動画を見てみる。これまで四種類しかなかった使役系スキルに、新たに四種類が追加されて、計八種類に増えたという内容のようだ。

 使役が主戦力である俺にとっても、これは重大なニュースだ。早速、ネットで更なる詳細を調べようとした。だけどこの情報が入ってすぐなのか、妄想なのか虚報なのかわからない情報が錯綜していて、中々正しいと思える情報に行きつけなかった。あれこれネットを見て回っているうちに休み時間が終わってしまって、みんなそわそわしながら授業に戻った。

 そして初日はそのまま、あまり詳しい情報が入らないまま終わってしまった。その後、一週間ほど時間を置いた結果、ようやく世間も落ち着いてきたのか、まともな情報がネット上で纏められるようになった。


 どうやら使役系スキルは、最大で四種までしか取得できない仕組みのようだ。

 俺はテイマーとネクロマンサーを取っていなかったから、まだ二種を取得しようと思えばできるけど、既に先発の四種を取得済みの人にとっては、後発の使役スキルは一つも取得できないという事になる。

 まあ、持っているスキルを削除すれば新たに取得するのも可能になるけど、今の使役に愛着があってその選択肢を選べない人も多そうだ。それでも、利便性や理想を求めて、新しいスキルに鞍替えする人もそれなりにいるだろう。

 とりあえず、すべてのスキルをわかる範囲で調べて、俺なりに纏めてみた。まずは先発の使役系スキルからだ。

 俺が以前に、ダンジョンに潜る前に纏めたものとはまた違うものになった。実際に一部のスキルを使ってみて気づいた点や客観的な性能も入れて、新たに纏め直してみた。




「人形使い」スキル

 このスキルを持っていれば人形を作成できる。

 痛覚なし、疲労なし、破損しても時間経過で修復する。

 初期は30センチの木製の球体関節人形。成長すると最大2メートルの大きさになる。

 レベルが上がる毎に5センずつ成長する。

 スキルは覚えられるが魔法は覚えられない。専用スキルあり。

 レベル100ごとに10体ずつ増やせる。(1~25まで、レベル5ごとに5体。人形が得られないレベルアップは人形の強化に使える。レベル51~75まででまた5体)


 人形の初期スキル

「自動修復」(破損しても時間経過で回復するスキル。粉々になっても時間はかかるが回復する)

「自律行動」(使い手がすべての行動を指示、命令しなくても、独自に判断して行動するスキル)

「学習知能」(独自判断に必要な知能や戦闘に必要な知識などを学習するスキル)


 強化項目:「筋力」「素早さ」「頑丈さ」「器用さ」「知力」の5つ。




「精霊召喚(サモナー)」スキル

 このスキルを持って契約ダンジョン「精霊の憩い場」に行けば、精霊と契約できる。

 実体なし、痛覚なし、疲労(魔力切れ)あり。

 召喚した場合にのみ現れて、使役者に指示されて魔法を使う。

 覚えさせる属性や魔法によって姿が変わる。

 最初は「精霊のカケラ」の状態で薄い白いモヤの姿。覚えさせる属性や魔法によって、姿がどんどん変わっていく。

 たくさんの属性を一体に覚えさせると、その分だけ魔法の威力が下がる。魔法は単体属性の方が威力が高くなる。属性には相性があり、相性の良い属性ならば、あまり威力は下がらないで済む。

 魔法は覚えられるがスキルは覚えられない。専用魔法あり。

 レベル100ごとに10体ずつ増やせる。(レベル10ごとに1体)


 初期魔法なし。強化項目なし。




「幻獣使役(テイマー)」スキル

 このスキルを持って「幻獣の住処」に行き、対象の幻獣に気に入られれば契約できる。

 痛覚あり、疲労あり、死亡するが、死亡しても一定時間で復活する。

 食事や排泄、遊び相手など動物と同じような世話が必要となる。飼う為にはできれば広い敷地があった方がいい。

 最初は幼獣で体躯も小さいが、成長すると使役者を乗せて移動できるほど大きくなっていく。体の大きさは任意で変更できない。

 レベル100ごとに10体と契約できる。(レベル1で5体、レベル51で5体)

 魔法もスキルも覚えられる。専用魔法も専用スキルもあり。

 幻獣の世話が満足できない場合や犯罪行為に加担させようとした場合などは、幻獣側から一方的に契約を破棄する事が可能。

 世話できなくなったりシーカーを引退する場合などで使役者側から契約を解除する事もできる。

 一度解除した相手との再契約はできない。シーカーとして再起する場合、別のレベル1の幻獣と契約する事は可能。

 契約者が死亡した場合、契約は自動解除され、幻獣は自動的に契約ダンジョンへ戻される。


 初期スキル

「使役者察知」(契約した使役者がどこにいるのか察知できるスキル)

「強制帰還」(使役者が死亡した場合、幻獣本体が死亡した場合などに自動的に契約ダンジョンに戻されるスキル)

「復活」(幻獣が死亡した際に幻獣ダンジョンにおいて復活するスキル)


 初期魔法なし。強化項目なし。




「ネクロマンサー」スキル

 このスキルを持っていると、指定アンデッドを選んで作成できる。作成したアンデッドはインベントリへの収納可能。

 痛覚なし、疲労なし、破損しても時間経過で修復する。

 初期は「スケルトン」と「ゴースト」の二種から選べる。レベル101で選べる種族が二つ増える模様。

 レベル100ごとに20体作成できる。(レベル10ごとに2体)

 初期スキル・初期魔法以外はどれだけ成長しても、スキルも魔法も一切覚えない。


 スケルトンの初期スキル

「自動修復」(破損しても時間経過で回復するスキル。粉々になっても時間はかかるが回復する)

「自律行動」(使い手がすべての行動を指示、命令しなくても、独自に判断して行動するスキル)

「学習知能」(独自判断に必要な知能や戦闘に必要な知識などを学習するスキル)

 備考:スケルトンは弱くて体重が軽い人形のようなもの。


 ゴーストの初期魔法

「エナジードレイン」(体力を吸収する魔法)

「オーラドレイン」(氣力を吸収する魔法)

「おたけび」(恐怖耐性がない、もしくは耐性が低い相手を硬直させる魔法)

 備考:ゴーストは特定魔法しか使えない。精霊に近い性質だが召喚ではない。魔力が切れるとできる事がなくなる。


 強化項目なし。



 ここまでが先発の使役スキルの特徴だ。そしてここからは、新たに出現した四種の使役系スキルを記載していく。まだこれらのスキルが出現してから数日しか経っていないので、わかっていない事もある。現時点で集められた情報はこんな感じだ。




「守護騎士主」

 このスキルを取得した状態で契約ダンジョンで守護騎士を倒すと契約できる。

 守護騎士の姿は動く鎧(リビングメイル)。だが、守護騎士がアンデッドかどうかは定かではない。

 守護騎士専用の契約ダンジョンは「守護騎士の鍛錬所」という名の塔型の特殊ダンジョン。

 守護騎士は通常のスキルや魔法は使えない。専用スキルと専用魔法のみ使える。契約ダンジョンで専用スクロールがドロップする。

 初期スキルに自動修復の他に、氣を使って即座に損傷を治す事のできる「自己修復」スキルがある。

 粉々になって破損しても修復する。また、スキルなどで一時死亡しても時間を置いて復活する。

 ペナルティありの専用スキルを使用して死亡した場合、死亡から復活までに時間が空く場合がある様子。

 痛覚なし、疲労なし。インベントリやアイテムボックスへの収納可能。

 レベル100までに3体のみ契約可能。(レベル1で3体契約可能)

 レベル1の最初から2メートル40センチの大きさ。人形の初期よりかなり強い。

 下記の専用スキルを揃える事で戦力数を増やしていける。


 従騎士作成(守護騎士に従う従騎士を作成するスキル。一体の守護騎士に一体ずつ付き従う)下級

 騎馬作成(守護騎士に従う騎馬を作成するスキル。一体の守護騎士に一体ずつ付き従う)中級

 影騎士作成(守護騎士に従う影騎士を影から作成するスキル。一体の守護騎士に一体ずつ付き従う)上級

 騎竜作成(守護騎士に従う騎竜を作成するスキル。一体の守護騎士に一体ずつ付き従う)特級


 これらすべてが揃うと、レベル100ごとに15体となる。(これらはすべて守護騎士の指令に従うので、直に命令する事はできない)

 15体揃えるには特級までレベルを上げる必要がある為、道程は長い。


 初期スキル

「自動修復」(破損しても時間経過で回復するスキル。粉々になっても時間はかかるが回復する)

「自律行動」(使い手がすべての行動を指示、命令しなくても、独自に判断して行動するスキル)

「学習知能」(独自判断に必要な知能や戦闘に必要な知識などを学習するスキル)

「自己修復」(氣を使って即座に損傷を治す事のできるスキル)


 初期魔法

「帰還」(主のいる位置に、どんなに離れていても一瞬で転移する魔法。主がいない場所への転移は不可)


 強化項目なし。




「妖精召喚(フェアリーサモナー)」

 このスキルを持っていれば、契約ダンジョン「妖精の遊び場」にて妖精と契約できる。

 妖精は基本は実体のないタイプだが、本人の意思で一時的に実体化する事が可能。

 属性や魔法の相関は精霊と同じだが、見た目は10センチ程度の、手のひらサイズの小さい女の子の姿をしており、背中に半透明な白い光でできた羽が4枚生えている。妖精の個体ごとに見た目(容姿や髪型など)が違う。

 言葉は喋らないが、ハミングのような声で歌を歌う。

 悪戯好きで召喚時に指示を無視したり、召喚されなくとも契約者の元に現れて悪戯をする可能性がある。お菓子や果物といった食べ物を好み、それらを毎日与えると悪戯をしなくなる。

 精霊に比べて、召喚時間と所持魔力が3倍ある。その代わり、契約数は精霊の半分としか契約できない。

 レベル100ごとに5体と契約できる。(レベル20ごとに1体)

 痛覚なし、疲労あり。魔法と専門魔法が覚えられる。スキルと専門スキルは覚えられない。


 初期魔法なし。強化項目なし。




「ロボット操縦士」

 このスキルを持っていれば、ロボットを作成できる。このロボットは操縦士が内部に入って操縦する事を前提としているが、自動操縦機能もある。(操縦士が搭乗していない状態での自動操縦は不可)

 初期はパワードスーツのように着込む形。レベルアップで体躯が大きくなると、レバーやボタンで操縦する形に変更される。

 ロボットにも人形と同じように自我があるが、言葉は喋らない。

 ロボットにはロボコアがあり、使用しない時はロボコアに戻して保管できる。ロボコアはインベントリに収納可能。

 一度ロボコアに戻してからまたすぐにロボット状態に戻しても破損度合は変わらないが、ロボコア状態の時は人形の「待機」と同じく、修復速度が通常時よりも速くなる。

 人形の専用スキルの「硬質化」と似た「硬化」スキルを初期スキルとして持っている。(このスキルはロボット専用スキル)

 作成するロボットは1体のみ。レベルがどれだけ上がっても数は増えないと思われる。

 大きさはレベル1時点では体を覆う鎧のような状態で、レベルが上がるごとに大きくなり、強度も増していく。今のところ上限はわからないが、10メートル以上に進化する模様。大きさを変更できないので、狭いフィールドなどでは使用不可となる。

 痛覚、疲労なし。破損しても時間経過で修復する。

 初期スキル以外は、専用スキルのみ覚えられる。他の通常スキル、通常魔法、専用魔法は覚えられない。


 初期スキル

「自動修復」(破損しても時間経過で回復するスキル。粉々になっても時間はかかるが回復する)

「自動操縦」(使い手が行動を指示、命令しなくても、独自に判断して行動するスキル。ただし操縦者が内部にいないと発動しない)

「学習知能」(独自判断に必要な知能や戦闘に必要な知識などを学習するスキル)

「硬化」(レベルが上がるごとに徐々に体が頑丈になっていく専用スキル)


 強化項目:レベルアップごとに体躯が大きく強くなっていく。選択項目はなし。




「星獣友誼」

 契約ダンジョン「星獣の楽園」で、スキルを持っていて、星獣に気に入られれば契約できる。体のどこかに光る星の印がある特徴を持つ。

 食事や排泄、遊び相手などの動物同様の世話が必要となる。

 友情を元に契約しているので、扱いがぞんざいだった場合や犯罪行為に加担させようとした場合などは星獣側から一方的に契約を破棄できる。

  最初は幼獣で体躯も小さいが、成長すると使役者を乗せて移動できるほど大きくなっていく。ただ、星獣は体の大きさを変更できる能力を持ち、普段は小さくなれるので、大きい敷地を持たない者でも無理なく契約、使役が可能となる。

 痛覚あり、疲労あり、死んでも一定時間を置いて復活する。

 世話できなくなったりシーカーを引退する場合などで使役者側から契約を解除する事もできる。

 一度解除した相手との再契約はできない。シーカーとして再起する場合、別のレベル1の星獣と契約する事は可能。

 レベル100ごとに5体と契約できる。(レベル20ごとに1体と契約)

 魔法もスキルも覚えられる。専門魔法も専門スキルもある。


 初期スキル

「使役者察知」(契約した使役者がどこにいるのか察知できるスキル)

「強制帰還」(使役者が死亡した場合、幻獣本体が死亡した場合などに自動的に契約ダンジョンに戻されるスキル)

「復活」(星獣が死亡した際に契約ダンジョンで復活するスキル)

「体積変化」(体の大きさを変更するスキル)


 初期魔法なし。強化項目なし。

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