第147話 一行怪談147
テレビを見ると、番組に出演しているタレントの名前がテロップで表記されているが、その隣に「364kcal」とカロリー数も表記されている。
「駅の構内に佇む緑色のワンピースの女に声をかけられた人は、その日のうちに必ず踏切に飛び込むらしい」と私に話した友人が踏切に飛び込んだという連絡を受けて呆然としている私に、緑色のワンピースを着た女が近づいてきた。
自販機のお釣りで稀に真っ黒な効果が出てきたら、すぐに近くの神社に賽銭として入れないといけない。
電話越しに聞こえる母の声に重なるように、叔母の「逃げて」という掠れ声が繰り返し囁かれている。
我が家の軒先に季節外れのツバメの巣が作られており、好奇心で巣の中を覗いてみると、中年男性の顔をした何匹もの雛が私を見上げ、ギャーギャーと鳴き声を上げた。
玉ねぎの皮を剥いていくと、皮の一枚一枚に私の家族写真のような模様が浮かんでいる。
飼い犬が先ほどから鳴き止まないので仕方なく外を覗くも特に何の異常もなく、ぶつくさ文句を言いながら家に入ると、妻に跨った飼い犬が妻の喉元を食い千切っており、私と目があった飼い犬はニヤリと笑った。
家庭菜園が荒らされるようになってから菜園の野菜の成長がよくなり、不審に思って菜園の土を調べてみると、土の中に猫らしい腐乱死体が何十匹も埋められていた。
さっきから誰かがくしゃみをする声が止まない、私以外誰もいない実家。
空に浮かぶ太陽の大きさが日に日に小さく、反対に付きの大きさが日に日に大きくなっていることに気づいているのは、私だけだろうか。
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