第102話 一行怪談102

 この時期になると空から赤子が降ってくるので、後処理が大変だ。


 息子が書いた作文を読んでみると、息子に話していない私が子どもの頃にした悪戯についてびっしりと書き連ねられていた。


 新聞の連載記事の一つに、私たち家族の一日の行動を事細かに書いたコラムが載っている。


 近所の雑貨屋に足を運ぶと、私の実家の墓標が高値で売られていた。


 娘が工作の時間に作ったものは、私が殺した夫の愛人のピアスを模した折り紙。


 私が買うお菓子の中にだけ、細かく刻まれた髪の毛が入っている。


 見覚えのないアドレスから送られてきた動画は、私の実家の前でぶつぶつと何かを呟いている見知らぬ中年の男が映し出されている映像だった。


 久しぶりに会う親友の背後に血の気のない青年が立っていたので、彼女の寿命が残りわずかであることを察してしまった。


 彼の携帯をこっそり覗くと彼には見せたことがない私の幼い頃の写真がカメラスクロールいっぱいに埋まっていて固まってしまい、その時に背後から彼に声をかけられた。


 ボールが妙に重いので中を開くと、猫と思しき肉片がびっしりと詰まっていた。

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