第77話 一行怪談77

 好奇心で私と両親のDNA検査をしてみると、両親と血縁関係はなかったばかりか私のDNAは未知の爬虫類のものであった。


 実家の犬が掘っていた穴を埋めているのだが、どう考えても30メートル以上の深さはあるので本当に犬が掘った穴だろうか。


 私のスマホの暗証番号が、いつの間にか祖父の命日に変わっていた。


 牛乳を家のレンジで温めると、ぐつぐつと煮え立った赤黒い液体に変わってしまう。


 近所の野良猫が発情期らしいのだが、最近猫たちが私の行く先々に現れて甘えた声で鳴いて私を誘う。


 突然の腹痛に病院に駆け込んで検査を受けると、私の腸内に猿の胎児があることが判明したのだが、私は男だ。


 ポストに郵便物を投函したいだけなのに、いくら通り道の角を曲がっても曲がってもそこにあるのは曲がり角だけ。


 新しく買った入浴剤の香りは、あの日彼女を埋めた森の香りと同じ。


 炬燵に肩まで潜っていると「もっと体を動かせ」と怒鳴り声が聞こえて、炬燵の中から弾き飛ばされて全身を痛めてしまった。


 タートルネックのセーターが苦手だ、首元がなぜか段々締め付けられるから。

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