第34話 一行怪談34

 腕時計の短針が痩せ細った指に変わっていく。


 母直伝のチャーハンに使われるチャーシューは実家から送られてくるが、一緒に送られるチャーシューの材料となった人の写真は食欲が失せるので勘弁してほしい。


 隣人からもらった焼きトウモロコシの一粒一粒が虫歯に見えると思って調べてみると、炭化した骨の欠片だった。


 近所の犬が騒がしいのでカーテンをめくり窓の外を覗くと、大きな一対の目が私の部屋をじっと覗いていた。


 泣きじゃくる娘に理由を聞いても「私は悪くない」しか言わないので困り果てていると、突然娘が絶叫して耳の穴を近くにあった箸で突き刺した。


 息子が指さす先に見えるのは、眠っている夫のへそに火を点けやかんを乗せる夫にそっくりな顔の男。


 何やら目がズキズキ痛むので鏡を見ると、黒目が四つに分裂しさらに八つに分裂するところだった。


 赤ん坊の泣き声が靴箱からするので中を見ると、老婆の頭がギャーギャーと泣いていた。


 道端の猫が私の影を引っ掻くと影は絶叫を上げてどこかへ逃げ去ってしまい、以来私の影は行方不明だ。


 「あそこに#○※~→がいるぞ」と路地裏へ走って行った同僚が、腸を引きずり出されながらも幸せそうな笑顔を浮かべた遺体となり見つかった。

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