第52話 一行怪談52
醤油が焦げる匂いがすると思ったら、弟が七輪に並べた色とりどりの目玉に醬油をかけているところだった。
空のエレベーターに乗った途端、ブザー音。
深夜二時に「ごめんください」と、ベッドの下から聞こえる声。
「美味い、美味い」と祖父が啜るのは、めんつゆにつけた茶色の髪。
くすくすと笑う子どもの声が、私の腹から聞こえてくる。
「明日の犠牲者はこちらに住む方々です」と笑顔のアナウンサーが、私の自宅を背景に手を振ったところでニュースは終わった。
パズルを完成させると、燃え盛る炎に包まれた私の写真になった。
泣き腫らした姉の目の色は、鮮やかな橙色。
私の腕には時々、「思い出して」という文字が傷痕のように浮かび上がる。
コップの中に注いだ水道水を放置していると、けたたましく声を上げる蠅のように小さい無数の唇がびっしりと浮かんでいた。
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