第53話 一行怪談53
ズキリと目の奥が痛くなりそろそろ新しいものに変える時期かと、SNSでつながった女たちの写真を見つめ目ぼしい顔を探す。
インターフォンの音が玄関から鳴り響いているが、そもそも家のインターフォンは壊れているので、外を確かめてみるべきか否か。
ベッドの下から猫の尻尾がゆらゆらと揺れていたため、野良猫が迷い込んだかと覗き込んだがそこにはふさふさの猫の尻尾が生えた猫の骸骨が伏せており、以来私と猫の骸骨の共同生活が続いている。
仕上げにケーキに粉砂糖を振りかけると、「そんなもので隠しても無駄だ」という文字の形が浮かび上がった。
友だちが作ったミートパイは絶品だが「何の肉を使っているの?」と尋ねると「人間の肉は使ってないよ」と笑って答えられたため、何の肉を使っているのかが気になってしまった。
「おじいちゃんもいえにはいりたいって」と幼い我が子が指さす先にいたのは、頭が極端に振れあがった無表情の男。
愛用の香水の香りが、私が殺した女を埋めた時の土の匂いに変わっていく。
先ほどから視線を感じて振り返っても後ろには誰もおらず、まさかと思って天井を見上げても何もなく、気のせいかと思ってほっとした時「ここだよ」と腹の中から声がした。
「この夢が正夢なのだとするならば、私は数日以内に上司の車で轢き殺されるのだろう」と話していた同僚だが、その翌日にそれは私であることを薄れゆく意識の中で思う。
姉の足元には昨年死んだ我が家の飼い犬がじゃれついているのだが、飼い犬の背中にぱっくり空いた穴から「この女に殺された」という呪詛の声が響いている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます