第28話 一行怪談28
新しい地球儀を買っても、私の部屋に飾ると一晩で大陸が消滅する。
妻の大きく膨らんだ腹に耳を近付けると、かつて別れた女の高笑いが聞こえた。
やつれきった母の頭から私にしか見えない蔦が生えており、その蔦は家中に伸び私の足にまで絡みついている。
泣き止まない娘には腐った生肉を与えると、喜々としてむしゃぶりつくのです。
弟のうなじには唇のようなあざがあり、夜な夜なそのあざから美しい歌声が聞こえる。
彼の車の助手席には干からびたへその緒が置かれており、車を借りた私は気味悪く思いそのへその緒をダッシュボードに入れたが、運転している途中で赤ん坊の泣き声に悩まされハンドル操作を誤りトラックに正面から衝突し、意識が薄れゆく中で赤ん坊の笑い声を聞いた。
叔父の遺品のラジオを聞いていると、スピーカーから叔父の声で「もっと生きたかった」という言葉が十分おきに聞こえる。
息子の顔が気に入らないので、パーツごとに鋏で切り分けようと思う。
夫が生前、「天井からぶら下がる女に声をかけるな」という言葉を何度も繰り返していたが、その言いつけを守るべきだったと女の髪で首を絞められながら思った。
祖父の家で膝を擦りむいてからというものの、傷口は死んだ曾祖母の顔に変わっていって、毎晩叫び声が聞こえる。
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