第82話 一行怪談82
事故に巻き込まれてからというもの目が真っ赤な者が死者だと見分けられるようになってから、事故に遭った直後から私を励まし続けてくれた親友の目が真っ青に染まっていることに気づき、生者でも死者でも親友との付き合い方に頭を悩ませている。
なんとなく天井を見上げていると、子どもの足跡が次々と浮かび上がる瞬間を目撃してしまった。
運転中、タクシー運転手が怖い話を語ってくれたのだが、なぜ住所を伝えていない私の家までたどり着くことができたのだろう?
夫に電話がかかってきたのだが、聞こえてくるのは夫の悲鳴とそれをかき消すような女の高笑いだけ。
妻が最近始めたダイエットは効果があったのか、骨と皮だけの姿になって嬉しそうに微笑む妻が愛おしい。
人間の耳のみそ漬けを試しに作ってみるとあまりに美味だったので、また近所の子どもたちから耳を頂こうと思う。
「マスクが息苦しくて」と話す同僚だが、マスクの真ん中が大きく裂けるように開いて米粒のような歯がびっしり並んでいるのを見てしまった。
嫌々ながら家族の言う通りに夜中の神社に向かうと、社にいた顔が異様に膨らんだ化け物に掴まった時に、私は生贄として捧げられたと悟る。
ブラシで髪を梳かそうとするも、ブチブチと噛みがちぎられる音と生温かい吐息に髪がどうなっているのか確認する勇気が出ない。
風船かと思って近づいてみると、胴体が異様に膨らんで宙に浮かんだ人間だったので、がっかりした私はその場を去った。
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