第81話 一行怪談81

 友人に影を踏まれてからというもの、私の背中に友人の靴と同じ形の痣ができて、一向に消える気配がない。


 近所のガキ大将が四つん這いの女に追いかけられてどこかに逃げていくのを見かけたのだが、周りの人々はガキ大将のことを少しずつ忘れていっているようで、そもそもガキ大将とは何のことなのだろう?


 祖父が誰もいない部屋の片隅に向かって話しかけているのを見かけるようになり、「死んだ弟が迎えに来た」と祖父は笑っているのだが、部屋の隅にいるのは首が不自然に折れ曲がった血塗れの少女だということを私だけが知っている。


「月曜日が続いている」と叫んだ同僚は突然近くの鋏で目をついて自殺したのだが、続いているのは火曜日だ。


 疎遠だった弟が突然実家に戻ってきたので、今日は盆じゃないのに相変わらずおっちょこちょいだと思いながら、半透明の弟を家に招き入れた。


 久しぶりに鍋料理をすることになったのだが、鍋の蓋を開けると真っ赤に茹でられた小人のようなものが複数浮かんでいた。


 心霊スポットに足を運んでからもう帰ろうとしているのだが、どれだけ元の道を辿っても辿っても心霊スポットに戻ってしまう。


 写真の中の両親は私と目が合うと私の至らないところを口汚く罵るため、耐え切れなくなってバラバラに写真を引き千切ったところ、両親が体をバラバラに引き裂かれた状態で罵声をあげているのが発見された。


 我が家のインターフォンはなぜか、若い女の叫び声。


 疲れた様子の姉に栄養ドリンクを渡したところ、「それじゃ効かないんだよね」と鞄の中から生首を取り出し、首の切断面から流れる血液をすすった。

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