第131話 一行怪談131

 ニャーニャーと鳴き声をあげる中年男性が潜む、ベッドの下。


 いつの頃からか母の目と鼻と口から朝顔が咲いていて、朝顔が咲いてからは母の性格が明るいものに変わったが、最近は朝顔がだんだんと萎れていっている。


 家のソファに物を乗せると、なぜか色が褪せるか傷がついてしまう。


 シャンプーをすると必ず、鮮やかな赤い髪の毛が手の平に絡みついている。


 ここ最近、深夜に誰かが大声で叫んでいるのだが、その声がだんだんと大きくなって自分の名前を呼んでいる時に気付いた時、玄関のインターホンがなった。


 キャリーバックがガタガタ鳴るので娘のいたずらかと思ってバックを開けると、娘の生首がこちらをぎょろりと睨んでいた。


 近所の商店街のシャッターに浮かぶ、店主が奥さんに向けた罵詈雑言。


 私が降りる停留所に近付いたのでボタンを押そうとすると、「○○さんはここで降りますよね?」と明るい声の運転手に話しかけられた。


 写真に写る兄の顔は、見るたびに少しずつ兄の恋人の父親の顔に変わっていく。


 夫の妹が私のことを嫌っているらしく、鏡に映る私の首を必死に締める半透明な夫の妹が鬼の形相で映っている。

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