第107話 一行怪談107
「今、お前ん家の実家の前にいるんだけど、お前の兄ちゃんって結婚してたっけ?」という留守電を最後に親友は消息を絶った。
娘の髪に一房の緑の毛が生えた時、必ず神社で厄祓いを受けなければならない。
夜中二時に近所の中川さんの家から聞こえる割れんばかり拍手の音について言及してはならない。
この地域では午後三時四十三分から午後四時二十七分の間は家にいてはならないというルールがある。
父がウイスキーを飲む夜は、家族のみんなは一切口を開かず一晩を過ごさなくてはならない。
鼠を食らう烏を見かけた時は、その烏を捕まえて近くの祠に供えること。
近所のスーパーで猫の耳が特売で売られると、主婦たちが我先にと殺到してあっという間に売りきれる。
玄関の前にリスの死体を見つけたら、ただちに家に火をつけなさい。
午前六時に大きな衝突音が家の中で響いた時、必ず祖父の仏壇に栗ご飯を供えること。
窓の向こうから見える巨大な口は、今日も私が出てくるのを待ち構えるように歯をガチガチと鳴らしている。
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