第75話 一行怪談75

 私はよく髭を剃るが剃りすぎてよく怪我をしてしまい、今日は骨まで削ってしまった。


 上司が書いた封筒の宛先の住所に「地獄」と書かれていたのだが、上司が封筒をポストに出した翌日に上司の奥さんが交通事故で亡くなった。


 スマホのカメラロールには私の服を着た私と似ても似つかない女の写真が複数あるのだが、私の家族は友人はその女を私だと認識している。


 腹が減った時はそこらにいる幽霊を丸呑みすれば腹が膨れるが、幽霊を食って数時間はその幽霊の人格になってしまうのが難点だ。


 障子の数cmほどの穴から、数十個の目がこちらを覗いている。


「おいでおいで」と私に手を振る、天井の数十cmの穴から垂れ下がる、同じ顔をした数十人の若い男。


 思った通り猫の目は綺麗だ、彼女の目を入れ替えて成功だ。


 よく私に吠える近所の犬だが、最近になると私を見て尻尾を丸めて怯えるので、「邪魔者を大人しくさせる儀式」をして正解だった。


 恥ずかしい思いをするたびにその近くにいた人の首を絞めてしまうので、もうこれで十人殺してしまった。


 いつも私のそばで励ましてくれた友人がこの世の者ではないことに気づき、私は「幽霊を自分のモノにする」というおまじないを試すことにした。

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