第96話 一行怪談96
近所の廃屋の壁に生えている蔦が、ガキ大将を貪り食うのを見てしまった。
「ただいま」「おかえり」という声が繰り返し響く、亡くなった祖父の部屋。
今日は珍しく天井から赤い服を着た女が逆さづりになっている。
鏡に映るたび、私の後ろにいる青白い顔の男が私と距離を詰めてくる。
空に浮かぶ太陽を見上げた時、「おーい」と声が聞こえた時は諦めるように。
湯船に赤子の手足が浮かんだときは、直ちに近くの神社にお祓いに行くこと。
何があっても怖くても、この家にいる時は自分の名前を口に出さないこと。
焼け落ちた家の跡からは、手足が六本ずつ生えた人型の丸焦げ死体が見つかった。
泣きじゃくる娘が私にしがみつくが、独身の私は子どもを産んだことがない。
足を骨折してからも、「今度はどこがいい?」と尋ねる声が頭の中で響く。
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