第20話 一行怪談20
道に倒れたバイクのドライバーには確かに頭があるが、その近くに転がったヘルメットには中身がある。
いつもうんちくを披露し周りをうんざりさせている友人が、蝉に関するうんちくを語ろうとした時、顔を強張らせたと思うと奇声を上げてみるみるうちにミイラのように干からびていった。
涙が宝石に変わる体質の女が死後、火葬で焼かれた後に残っていたのは無数のダイヤモンドだった。
男が生涯愛したのは、母からもらった藁人形だった。
嫌がる娘に携帯から電話させると、娘ではない女の声で「今からそっちに行くからね」と言われた。
ウツボカズラの中を覗くと、溶けかかった人間の指が見えた。
息子のサッカーボールは夜な夜な、少年の声で「痛いよ」とすすり泣く。
かき氷を食べた彼女が頭を押さえ、「もう大丈夫」と上げた顔は、氷のように削れていた。
平和を願う兄の趣味は、社会に迷惑をかける人たちの指を切り取ることだ。
姉が行方不明になる前に読んでいた作品はこれなんですけど、あなたは大丈夫ですか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます