第42話 一行怪談42
近所の子どもたちの間で肝試しが流行っているようだが、肝試しに行った子どもたちの顔のパーツが日に日に消えていっている気がしてならない。
目の中にゴミが入ったようで、洗面所で顔を洗い鏡を見ると、私の目のふちから長い髪の束が垂れていた。
薔薇の花の模様が頬に浮かんだ者は死ぬというのは私の経験上確実だが、私以外のバスの乗客の頬に薔薇の花が浮かんでいたため、私は次の停留所で降りることを決めたのだが、窓に映った私の顔にも薔薇の花が浮かんでいたため諦める他なかった。
消臭剤の香りが時々、山に彼女を埋めた時の土の匂いに思える。
人の揚げ足ばかり取る同僚は、両足を切り取られ油で足を揚げられるという事件の被害にあったらしい。
「私は弟を殺したのですが、弟の死体が消えてしまったのです」と話す犯人だが、死体はあるのだが透明になってしまっただけと伝えるか否か。
何だかお腹が空いて仕方ないので、美味しそうな家の猫をそのまま食べてみたがハマりそうだ。
「復讐なんて意味がない」と笑った友人の家族を試しに皆殺しにすると、怒り狂った友人が私を滅多刺しにしたので、話が違うじゃないかと舌打ちする。
瞼の裏には、見知らぬ女の恨めしい顔が刻まれている。
もうこの家族は飽きたので次の家族を探そうと、被っていた人間の皮を脱ぎ、血まみれの家族を見下ろした私は家を後にする。
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