第70話 一行怪談70
うちのやかんは沸騰すると人間の断末魔が響き渡り、水蒸気が苦悶に満ちた人間の顔のようになる。
友人が頑なにスマホに変えようとしないので理由を尋ねると、「スマホにしたらあんたみたいになるじゃん」と私の後ろを睨みながら吐き捨てる。
友人は見知らぬ人にいたずら電話をして楽しんでいるが、ある日「こんなことするんじゃなかった」と両耳を削ぎ落として泣き笑った。
車のボンネットの内側から、拳を何度も叩きつける音がする。
強欲な金持ちはついに不死の願いを叶えたが、「こんなはずではなかった」と干からびた体を震わせて荒廃した町で一人呟いた。
夫はとても嫉妬深いので、私が産んだ子供をもう3人も殺している。
妻は最近、幽霊の干物をあぶって食べることにハマっているそうだ。
娘は泣き止まない、私が手首から流れる血を見せない限り。
息子はここ数年、烏の目玉をくりぬいて何かの虫を埋め込むことにハマっている。
ところで先ほどから視界の端に、私に向かって「おいでおいで」をする手がちらちら見えている。
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