第60話 一行怪談60
図書館の窓側の本棚にある上から二段目、左から五番目の本を手に取ると、視界の端に灰色の子どもが見えるようになるのだが、その子どもの手招きに反応してはいけない。
三歳の妹宛てに「お前の正体は知っている」という手紙と三十代半ばに見える暗い表情をした女性の写真が送られた。
バスの運転士が先ほどからミラー越しに私を見て怯えた表情をしているのだが、やっぱり今の娘の姿は人間には程遠いらしい。
靴下脱いだのに、中身があった。
寒いのでホットミルクを飲もうと牛乳を温めると、ミルクの表面に小人の死体がぷかりと浮かんだ。
今日も叔父から美しい両耳が届けられたので、今度はツリーのオーナメントにしようと思う。
口から涎を垂らして寝ている弟は、七歳の姿のまま十五年が経った今もまだ眠り続けている。
彼女の手料理は絶品なので、今日も僕は年頃の男の手を吟味する。
息子の目は時々銀色に輝くが、そんな時は必ず近所の野良猫が喉元を食い千切られた死体で見つかる。
幼い娘が壁の隅を指さして「パパ」とはしゃいでいるので、「違うよ」と言おうとした時に「せいかあい」としゃがれた声が部屋に響いた。
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