第165話 一行怪談165

 旅行先で買った猫の置物は、夜中になると発情期の猫のような鳴き声を上げ続けるため、最近寝不足だ。


 飼っている白猫が眠っているので面白半分にスマホを向けると、猫の背中に顔認証のマークがいくつも浮かび上がった。


 妻の影には時々猫の耳と尻尾が生えているのだが、本人はまだ気づいていないので、妻の正体が化け猫だと知っていると伝えるのはまた今度にする。


 今月の猫の集会は、私の先祖の墓の前で行われる予定です。


 飼い猫が黒い小人のようなものをむしゃむしゃと食べているのを目撃した翌日、近所で有名な意地悪爺さんが死んだ。


 野良猫に顔を引っかかれた夫は数日後、傷口から広がる猫の毛に顔を覆われて窒息した。


 天井裏からミャーミャーという鳴き声が聞こえるので、「子猫でも迷い込んだか?」と天井裏を覗くと、禿げ上がった中年男性の生首がミャーミャーと叫んでいた。


 実家の猫が産んだのは、子猫三匹と人間の胎児が一人。


 娘が描いた猫の絵だが、日を追うごとに猫の顔が死んだ姑の怒り狂った顔に変わっていく。


 息子が拾ったと言い張る猫は、あの時殺した彼女と同じ声で「また会えて嬉しい」と目を細める。

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