第99話 一行怪談99

 複数のいびきと歯ぎしりが聞こえる、私しかいない居間。


 私が眠ると、私の口から毛むくじゃらの腕が出てきてじゃんけんを行うらしい。


 枕の中から「ここから出して」とすすり泣く声が響く。


 猫の内臓は肥料に大変良いので、今日も近所の野良猫を狩る。


 切り裂いた喉から噴き出す弟の血は、見たことがないほど鮮やかな青。


 生首だけの姿になっても、姉は変わらずゲラゲラと笑う。


 ディスプレイに映る私の顔は、なぜか片目が潰れている。


 ある駅の売店には「白いワンピースの少女に気付かれない眼鏡」が売られている。


 近所のラーメン屋の裏メニューは、子どもの肉で作ったチャーシュー。


 階段を駆け上がる音が夕方ごろに鳴り響くが、そもそもこの家に階段はない。

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