第3話 一行怪談3
鏡に映った時も写真に写った時も兄の顔ははっきりと見えるのに、なぜ肉眼では目も鼻も口もないのだろう。
私は野菜や果物を食べられない、一口食べるだけで血の味が口中に広がるからだ。
闇鍋を開催した結果、全て食べ終わり明かりをつけると友人たちが見知らぬ赤の他人たちに変わっていた。
ここ数年、姉の髪の毛の先に小さな少年たちがぶら下がっている。
子供のころから飼い続けている猫は、今年で60歳を迎える。
父が出張のお土産にと連れてきた小指ほどの大きさの老婆は、今では私の良き相談相手だ。
近所の銭湯の水風呂には、特別な方法で採取した幽霊が風呂の底に沈められている。
赤緑黄青紫白黒といった向日葵の花が同時に咲いた時は要注意。
あの時読み聞かせした話がよっぽど怖かったのか、娘が20歳を迎えた今も娘の部屋の天井にはあの頃の怯えた娘の顔がこびりついている。
ピザやホールケーキなどの丸いものを見ると、あの時の彼女の零れ落ちた頭が思い出される。
探し物があると訴える友人が話した探し物の特徴は、私が3年前に殺した彼のキーホルダーと同じだった。
「この人悪い人」と私以外の全員が私の弟を指さし始め、とうとう弟も自身を指さし始めた。
ある母子が父親に延々と殴られ続ける○○社のCMを子供の頃に見たんですが、誰か同じCMを見た人はいませんか?
両親からお前はあの木のうろから生まれたんだよと言われ続けてきたが、なぜ私の指から木の葉が生えるのかを最近ようやく納得した。
近所の路地裏にはキバリさんがでてくるから注意しなさいと言われているが、キバリさんの特徴は誰も覚えていないのに皆がその人にあったと言ってきかない。
祖父の猟銃は私が持つと、時々すすり泣く声を出す。
祖母の裁縫箱は時々、誰かに対する恨みの声を出す。
愛用の腕時計は時々、死んだかつての婚約者の死亡時刻を指して止まることがある。
母が作るココアは必ずと言っていいほど、大小さまざまな目玉が浮かんでいる。
10年前に行方不明になった息子が当時と変わらぬ姿で戻ったが、間もなく死にその死因は老衰であった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます