第103話 一行怪談103

 結婚式のスライドショーで映し出された写真の一枚に、家族の誰も知らない若い女が実家の庭でおいでおいでをしている写真があった。


 部屋に浮かんだ丸いものは何かと思ったら、風船のように体が膨らんだ生後4ヶ月の娘。


 テレビの何かのカウントダウンがされていると思ったら、0になった瞬間に天井から降りてきた毛むくじゃらの腕が私の頭を掴んだ。


 祭りの会場で出ていた屋台の一つに「人魂釣り」というものがあり、その屋台の周りでは人が次々と倒れていく。


 息子の膝に人の顔のようなこぶができ、そのこぶは私が海に捨てた女の顔にそっくりだった。


 散歩に行っていた祖父が帰ってきたが、その日以来「ばあさんが呼んでいる」と自分の部屋に引きこもるようになり、存命の祖母と頭を悩ませることになった。


 髪を明るく染めると、私の影が老婆と思しき陰に首を絞められるようになった。


 姪が成長するにつれて先祖が手籠めにして殺した女そっくりになってきたので、家族の間で姪をどうするかの話し合いが進められている。


 生まれてきた甥は背中全体に鱗が生えていたので、龍神様の子として我が家の座敷牢に閉じ込めることが正式に決まった。


 いとこにせがまれて遊園地に来たのはいいが、いつまで経っても日が暮れないと気が付いた時から、園のスタッフ数名が私たちの後をずっとつけている。

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