第104話 一行怪談104
祖父が釣り上げた魚はヒレの代わりに人間の手が生えており、「誰にも言うなよ」と話した祖父はその魚の目をくりぬくと、翌日に近所の厄介者が目をくりぬかれた死体で見つかった。
近所の山田さん夫婦は穏やかな人たちだが、二人の背中にいくつもの赤子と思しき塊が張り付いているため、誰も彼らと必要以上に関わろうとしない。
うちのベランダには女の顔をしたシロツメクサのような花が生えているため、ベランダに洗濯物を干したことがない。
午後三時四十七分に会社にかかってくる電話に出てはいけない。
午前七時十九分になると、居間の日本人形は今日起こる出来事を話し始める。
甥の頭を洗っていると、つむじが裂けて歯のようなものが見えたかと思うと、がぶりと手を食い千切られた。
腹が痛いと喚く叔父が叫び声をあげたかと思うと、生きた牛や豚、鶏などが大量に叔父の腹部を食い千切って飛び出した。
ふらふらと千鳥足の兄が足を滑らせたかと思うと、閉じていたはずのマンホールから腕が飛び出して、兄の体を抱え込むと真っ暗闇に引きずり込んだ。
自販機で飲み物を買うと『あなたは選ばれました!』という機械音が響いて戸惑っていると、信号無視したトラックがこちらに突っ込んできた。
梟の剥製が夜中に泣く日、町で誰かが内臓を無くした死体で見つかる。
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