第187話 一行怪談187
「子どもたちを怖がらせるつもりで走ったんじゃなくて、意地悪な骨格標本に追いかけられたから逃げただけなんだ」と、真夜中の理科室で泣いている人体模型のお話を聞いてあげると、これからどんな病気も治ってしまうんだよ。
夜中の音楽室から聞こえるピアノの音は、学校で自殺した女生徒の幽霊の仕業ではなく、担任に階段から突き落とされて意識不明になったサヤちゃんの生き霊が、担任の後ろ暗い話を曲にしてピアノを弾き語りしているからなんだよ。
図工室の手の彫刻って本当は生きているんだよ、図工室でいたずらをしていたいじめっ子の首に飛びかかって、ぎゅうぎゅうと絞め上げて殺した場面を見たから。
学校の廊下の真ん中で、正午ぴったりに転んでしまうと、自分がいるべき世界に戻ってしまうんだって。
放課後、下校時間まで教室に残ってしまうと、独りでに動くチョークにご先祖の悪行全てを黒板に書かれてしまうそうだよ。
ウサギ小屋のウサギの数が合わないのは、ウサギたちに紛れた化け物が、夜な夜なウサギを一匹ずつ食べているせい。
職員室にあるコピー機は、夜中に突然動き出して、その日学校で起こった出来事が全て書かれた紙を何百枚も印刷するらしいよ。
朝の学校のプールから、バシャバシャって水の音を聞いただけなら大丈夫、だけど色んな人たちの悲鳴が聞こえたら手遅れなんだって。
家庭科室で食べ物に関するいたずらをしちゃった生徒は、それから一生、自分が食べる食べ物の味が一日ごとに泥の味に変わっちゃうみたいだよ。
図書室には今までのお話と、他の怖い話が書かれた本がどこかに隠されてるらしいけど、全部のお話を知ったら学校で暮らすお化けになっちゃうんだって。
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