第30話 一行怪談30
実家にある金庫は、家の者が扉に触れると扉に触れている部分を食い千切る防犯システムのようなものを兼ね備えている。
野菜が嫌いだった息子が野菜が大好きになった理由は、庭の家庭菜園の畑に一日埋めたからだろうか。
憧れの存在だった先輩にもう一度会いたくて、こっそり隠し持っていた先輩の髪の毛を元に先輩を作ってみたが、なぜか出来上がるのはヒキガエルのみ。
落ち着きのない娘に嫌気がさし、大人しく愛想のいい隣の娘さんの爪の垢を煎じて飲ませようとしたが、爪の垢がないので仕方なく爪を一枚剥いで煎じて娘に飲ませると、途端に苦しみ出し顔が紫色になって動かなくなってしまったので、この遺体をどうしようかと途方に暮れている。
メーデー、メーデー、空を飛ぶ老婆の集団に機体が襲われています。
痛がる祖父に医師から処方された薬を飲ませると、翌朝「生まれ変わったようだ」という書き置きと、祖父と思われる茶色い抜け殻が祖父の部屋に残されていた。
飼い猫がある時から私を威嚇するのでしばらく妹に預けたところ、「これ、ただの置物じゃん」と返ってきたのは、ぼろぼろの木彫りの猫の置物だった。
私には男の兄弟がいるのだが、人によって弟だと言ったり兄だと言ったりとバラバラなので戸籍を調べたが、そもそも私は一人っ子であった。
姉の涙を舐めると、今まで感じたことがないほどの多幸感を感じ、夢中になって舐め続けると姉の顔がふやけ、顔のパーツが墨のように滲んだ。
夕方、私の後をつけるカツカツという足音が聞こえ後ろを振り向くと、それは宙に浮いた生首が歯を鳴らす音だった。
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