第46話 一行怪談46

 宅配便が届いたので箱を開けると中身は人差し指20本だったので慌てて警察に届けると、20本の人差し指全ては同じ人間のものだったそうだ。


 私のアカウントのプロフィール欄に書いた覚えのない「一緒に死にませんか?」という一文が書かれた直後、「一緒に自殺しましょう」という大量のDMが同一のアカウントから届いた。


 近所に突然できた喫茶店は評判で連日行列ができていたが、ある日急に閉店したかと思うと、翌日から喫茶店に一度でも通ったことのある人物が自殺するという事件が連続して起きたが、その遺体のどれもがコーヒーの香りがしたらしい。


 四肢が切り落とされる夢を見てからというもの、私以外の家族の両手や両足の怪我が増えたが、家族が怪我をした部位に「今度は失敗しない」という文字が数日間浮き出る。


 小さなクマのぬいぐるみを甥っ子にプレゼントすると、「お前は間違えなかったね」と甥っ子が死んだ兄の顔で醜く笑った数日後、私以外の家族が全員失踪し、後日山奥で首つり死体となって発見された。


 季節外れの風鈴の音に耳を澄ませると、「ここから逃げて」という子どもの声が聞こえた。


 私が買う小説には私と同姓同名の登場人物が必ず登場し、その人物は終盤で必ずむごい死にざまをさらす。


 水筒にはスポーツドリンクを入れたはずなのに、中身を見ると腐ったネズミの死骸が入れられている。


 壁に飾られている絵画に吸い込まれそうになって助けを求める恋人を無視して腫れた頬の手当てをする間に、いつの間にか絵画に怯えた恋人の絵が増えていたのを見て、やはりこの絵画は福の神だと一人微笑む。


 弟の背中には肩甲骨のあたりに大きな傷があり、あれは天使の羽かもしれないと思っていた私が馬鹿だったと、弟に内臓を抜き取られながら思う。

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