第151話 一行怪談151

「生まれつきこうなんです」と、涙の代わりに目からウジ虫をこぼす女。


 食べても食べても、裂けた腹の隙間から食べたものがこぼれてしまうので意味ないよ、と兄に伝えるべきか。


 耳掃除をしていると、耳から丸まった紙が出てきて、その紙を開くと小さな小さな目玉があった。


 埃の積もった卒業アルバムの中に、先月生まれたばかりの甥が寝ている写真が紛れていた。


 修学旅行の班決めで、何度やり直しても、三十二人いるクラスのうちに四人一組の班が八つ出来て、なぜか一人余る。


 この信号は赤信号で止まると後ろから誰かに突き飛ばされることが多いので、赤信号でも渡ろうとする人が多く、事故が絶えない。


 ある儀式を経て私から家族の信頼も仕事も恋人も奪った弟だが、あの儀式には年に一度生贄を捧げないといけないと取り返しのつかないことになるとは分かっていないようなので、別に教える義理もないしとっとと逃げようと思う。


 あくどい商売をして他人から金を奪っていた先祖が、亡者たちに体を貪られては生き返り、再び体を貪られるという夢を繰り返し見るので、そろそろ墓参りに行かなければ。


 妹の首から噴き出した血が机に触れた途端、血の触れた部分が溶けだしたので、やはり妹を処分するには血が出ないようにしなければ。


 暇なので天井のシミを数えていたら、だんだんとシミが天井を覆いだしたのだが。

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