第15話 一行怪談15
新聞の番組表に私の祖父の一日に密着したという番組があるが、祖父は数年前に他界している。
体調が優れず薬局に行くと、商品棚の一つに「呪い・恨みに効く」というポップが飾られていた。
息子の怪我の様子を見るために包帯を解くと、傷口からこちらをぎょろりと覗く目玉があった。
新しい畳から生臭い血の匂いがする。
顔の抉れた少女の画像に可愛いと声をかけ続けると、髪留めをつけたりおめかしするようになったが顔は抉れたままだ。
小学生の時に埋めたタイムカプセルを掘り出すと、私以外見たこともない少年少女がクラスメイトとして集合写真に写っていた。
最近人気の焼き鳥屋に行ったものの、肉の味がどうにも人間のそれと同じに思えて仕方ない。
動画投稿サイトに隠し撮りされた姪の日常が投稿されており、そこには姪が両親を殺してその死体を解体する様子が映されていた。
入院している友人の病室を訪れると、治療と称してゲラゲラ笑いながら友人の頭を殴り続ける看護師がいた。
最寄り駅の近くにできたパン屋は行列ができるほど人気だが、店から出る人を見た者は誰もいない。
本日はお日柄もよく、自殺するにはうってつけですね……。
服のほつれを見つけたのでほつれた糸を伸ばすと、途中から毛根のついた人間の髪の毛に変わった。
パソコンの画面の端に、「私を見つけて」という文字とともに行方不明になった姉の泣き顔が映る。
祖母がくれたお守りから何か音がすると思ったが、あれは内側から爪で布を引っ掻く音だと手遅れになった今になって気づいた。
私が黒豆を食べられなくなった理由は、母が作った黒豆の煮物の中に幼い頃の私の虫歯が混ざっていたからです。
娘のランドセルから、去年他界した父の声で私たち家族に対する恨み言が聞こえる。
財布の中から「この紙を見つけた人は不幸が訪れます」と書かれた小さな紙を見つけてからというもの、家族や友人、近所の人たちさえも私に親切にしてくれる。
鼓膜を破ったのに、あの男のけたたましい笑い声が響いている。
どの花の匂いを嗅いでもあの日見つけた死体が放つ死臭がするので、発狂した兄は自らの鼻を削ぎ落とした。
「私のために怪談を作って」と隣で懇願するずぶ濡れの女のために、私は怖い話を作り続けないといけない。
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