第37話 一行怪談37

 友人のスマホの着信音が私の姉の金切り声なので「心臓に悪いからやめてくれ」と言うと、「そんな着信音にしていない」と怪訝そうに返された。


 くしゃみが止まらない兄を脅かそうと後ろから「わっ!」と脅かしてみると、兄の後頭部の口が開き「やかましい!」と怒鳴られた。


 夜間から出る湯気が青い時は、家の子どもが足を怪我をする。


 私に弟が三人いることは確かなのだが、三人が揃っていたことは今までない。


 町にある教会からは夜中、悪魔の名を読み上げる神父の声が聞こえるが詮索してはいけない。


 薬をラムネにすり替えて正解だった、叔父が邪魔な老人どもを食べてくれたんだから。


 リンゴの種を面白半分で庭に植えてみると、十日ほどで中に喉仏が入った実をつけた小さな木が生えた。


 息子が恋人を連れてくると言うので妻と出迎えると、若い頃孕ませて捨てた女が当時のままの姿で「これでようやく家族になれるね」と涙を流した。


「この世界が善人だけになりますように」という不幸な少女の願いが叶った時、全人類が赤ん坊の姿になり数日後に全人類が死亡した。


 私を生贄に選んだ村は水底に沈んだが、私の夫となる白蛇が愛を与えてくれるので何も問題はない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る